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堅守速攻と、リーダー誕生の手応え。
手倉森ジャパン、リオへの現在地。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO SPORT
posted2014/03/31 10:40
U-19との練習試合の視察に訪れたザッケローニ監督と談笑する手倉森監督。ブラジルW杯へのサポートメンバーの帯同は見送られる方針だが、若手の発掘には余念がない。
スタイルは過去に成果を出してきた「堅守速攻」。
サッカーのスタイルは、「堅守速攻」がキーワードになっている。
合宿初日には、守備のブロックを敷いて守り、相手ボールを引っ掛けて攻めたり、前線からプレスをかけて奪って素早く攻めるビデオ映像を見せて、イメージを浸透させた。合宿2日目の夜にはレアルマドリーやドルトムントなど世界レベルのカウンターとショートカウンターのビデオ映像を見せ、「堅守速攻」というチームコンセプトの浸透を計った。
実際、それが出来るチームは結果を出している。アトランタ五輪の「マイアミの奇跡」も、ロンドン五輪でベスト4に進出したのも、守備のブロックを敷き、相手のボールを奪ってカウンターに転じる戦術が成功したケースだった。ビデオ学習は、この戦術を継承し、よリ精度を高めていくという手倉森監督のこだわりが感じられた。
残念ながら、U-19日本代表候補との練習試合では、自分たちがボールを保持し、主導権を握れていたので、守備のブロックを形成して引っ掛けて早く攻めるなど、実戦でトライしようとしたいくつかのポイントは試せずに終わった。
ポゼッション時の攻撃の優先順位に課題が。
だが逆に、ポゼッション出来ている時にどうやって攻めるのか。そこでの工夫のなさが浮き彫りになったのは、今の時期で良かったかもしれない。手倉森監督も「攻撃の優先順位をダイレクトプレー、カウンター、相手の守備を見ながらのビルドアップ、押し込んだ時のポゼッションと決めた中で、その都度何を選んでいくのか。そこと攻撃での鋭さと恐さをもっとしっかり表現していかないといけない」と、攻撃面での課題を挙げた。
1本目と2本目で途中までプレーし、キャプテンを務めた西野貴治も「やろうとしていたことができなかった。リズムが単調になったので、あえて引いてみるとか、ロングボールを使うとか、自分たちで考えてやらないといけなかったが、まだまだそういう部分が出来ていなかった。そこはこれからの課題です」と、語った。
カテゴリー別の代表をまとめるには、リーダーの存在が不可欠だ。同世代のチームには、必ず他の選手が認める選手がいる。前園真聖(アトランタ五輪)、中田英寿(シドニー五輪)、清武弘嗣(ロンドン五輪)らは、そういうタイプのリーダーで、那須大亮(アテネ五輪)、水本裕貴(北京五輪)はキャプテンタイプのリーダーだった。