野ボール横丁BACK NUMBER
ダル移籍後の日本ハムと重なる、
田中のいない楽天が強い2つの理由。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/03/27 10:40
216cmのルーク・ファンミルのゴムひもダッシュに勢いよく引っ張られて驚く松井裕樹。やわらかい雰囲気の楽天で、伸び伸びとプロ1年目のシーズンへ準備を進めている。
田中はある意味、偉大になり過ぎていた。
今の楽天も、昨シーズンの日本一が証明しているように、新芽の勢いを感じる。組織力が増し、選手が抜けても、それに代わる選手が次から次へと出てきそうな気配なのだ。
先発投手としては則本昂大、美馬学はある程度計算できるとして、それに続くと期待されているのが、一昨年の優秀新人賞・塩見貴洋と、6年目の辛島航の両左腕だ。二人は監督の星野仙一が「やってもらわないと困る」と話す選手だ。
監督にこう言われ、意気に感じない選手はいない。これも主力が抜けたことで得られる副産物だ。
高卒ルーキーの松井と、高卒2年目の森雄大の両左腕も、田中がいるのといないのとでは期待度が違う。また、二人のように若い選手は、田中がいないことで遠慮なく、伸び伸びできるのではないか。
田中はある意味、楽天という地方球団の選手としては偉大になり過ぎた。あまりにもひとりの選手が突出してしまうと、組織の新陳代謝が滞ってしまうことがある。まだ結果は出ていないが、そういう意味で田中の移籍は、ひとまず、出る方にとっても、送り出す方にとっても、じつにいいタイミングだったと言えるのではないか。