ソチ五輪EXPRESSBACK NUMBER
羽生結弦、歴代最高点でSP首位!
チャンとのFP決戦を完全シミュレート。
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2014/02/14 11:45
演技前の羽生結弦は、見ている者にもその集中が伝わるほどの表情だった。史上初の100点越えで首位ターンに成功し、世界の頂点をかけてフリーに挑む。
日本時間15日3時15分からの35分間が勝負の時間。
もし運命のいたずらがあるとしたら、滑走順だろう。羽生は、フェルナンデス、高橋の次となる21番目、そしてチャンが22番目で続く。羽生にとっては、チャンの点を見ずに演技できるため、自分に集中しやすいと言える。
そして、もし羽生が驚異的な点数を叩き出せば、氷上で自分の出番を待つチャンは、嫌でもその点数と大歓声を耳にすることになり、プレッシャーを感じる可能性は高いだろう。1人でも間に別のスケーターがいればヘッドホンをつけて音楽を聴くなどして、スコアが耳に入らないような対策が出来るが、直後の滑走では、それは無理だ。羽生の点数を知った上で滑ることは、精神的には難しい状況であることは間違いない。
しかしチャンは言う。
「フリーは僕の秘密兵器。ユヅルの背後にぴたっとくっついて迫っていくような気持ちでフリーを楽しみたい」
3度の世界選手権王者のチャン。簡単にメンタルが崩れる様子は見せない。
いずれにしてもハビエル、高橋、羽生、チャンと続く、14日22時15分(日本時間15日3時15分)からの35分間が勝負だ。日本男子初か、カナダ男子初か、はたまたスペイン初か、歴史に刻まれる金メダルが誕生する。