「現役で一緒だった頃のタツの酒の量を知ってるからな」

――補強と言えば横浜がFAで久保を、メジャーから高橋尚成を獲りました。今年は念願の最下位も脱出しましたし、来年はAクラスが狙えるのではないでしょうか？

「うちに来るモバ浜萌えの奴らもよ、『久保が入ったからCS行けますよね』だ、『先発が入ったから優勝だ』って相変わらず浮かれてやがるな。あのな、本当に良ければ阪神が出せねぇって。ギリギリ二けたのピッチャーが1人2人入ったところで、かわんねぇっての。

　移籍組がやれるかどうかはチームの水に合うかどうかだろ。今年最下位脱出したってよ、選手一人一人が意識を変えて“自分がやらなきゃしょうがない”という空気にするには、まだまだ時間が掛かるだろうしな。これで浮かれてたらまた一生最下位だって。まだ実質最下位並に弱いということを自覚してよ、とことん野球をやらなきゃどうしようもねぇんだから」

――セ・リーグの得点ぶっちぎりの野手は随分よくなったんですけどね。

「野手は随分よくなったよ。梶谷みてぇなのも出て来たし、競争も激しくなってきたよな。タツ（金城）だって今年は3割手前まで復活して来たろ。あいつさ、ここ数年オフになると『わたり、ごめんね。今年も3割打てなかったよ』って頼んでもいねぇのに謝ってきていたんだよな。そんな思いで、大好きな酒も節制して、身体絞ってもう一回ってやったからな。結果が出たことは自分のことのように嬉しいよ。

　俺は現役で一緒だった頃のタツの酒の量を知ってるからな。遠征の時に木塚と飯食って、飲みに行くからタツも誘うかって電話したら『ああ、誘ってくれてありがとう。また部屋で一人吐くまで飲んじゃうところだった』っつってんだから。冷蔵庫の酒、おかわり君だよ。それだけの酒好きが、早く帰るし、酒も控える。この前ゴルフで会った時なんて、ピーチサワーだぞ。『タツ、今年はよかったな、頑張ったな』って言ったら『わたり、ありがとう！　それで今年は何に俺のことを載せてくれるの！？』ってよ。カワイイ奴なんだよ。タツ、Numberに書いてもらうからな」

「横浜ならショートの山崎って奴」

――ああ。金城さん、番長がいるうちになんとか優勝させてあげたいですね。

「まぁでもよ、楽天を見ても、ゼロからコツコツやって優勝するまで10年ぐらい掛かってんだからな。しかも、マー君が世界記録作るぐらいの神懸り的な活躍があってだ。モバ浜も今年は7点差をひっくり返したりと、神懸り的な試合があったろ。でも、それでも結局は負けちまう。打ち勝つだけのド派手な野球じゃ勝てない。

　楽天も藤田みたいな存在があってこその優勝だろ。横浜ならショートの山崎って奴。ああいう地味だけど堅実で自分の役割が分かっている奴がレギュラーに定着すりゃな。中畑さんは派手な野球が好きかもしれないけどよ、いかにミスが少なく“当たり前のことを当たり前に”やらないと、一生勝てねぇって。そのためにはどんだけ死ぬ気でやれるかだろ。上にいるドラゴンズだってよ、今年最後までキャンプやってただろ。『長いですね』って言ったら、『うちは弱いんだから。弱い奴は誰よりも練習しなければ勝てるわけねぇだろ』つってんだからな」

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