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7つの言葉で振り返る2013年事件簿。
これがF1界の「流行語大賞」だ。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byAP/AFLO

posted2014/01/04 08:01

7つの言葉で振り返る2013年事件簿。これがF1界の「流行語大賞」だ。<Number Web> photograph by AP/AFLO

前輪を軸に、その場でくるくると車体を回すドーナツターンを披露するベッテル。路面との摩擦で出る煙は、今季の風物詩となった。

ピレリタイヤを巡り起こった事件とトラブル。

(2)「テストゲート事件」

 5月にピレリがメルセデスAMGとスペインのカタロニア・サーキットで行なった単独のタイヤテストだ。現在のF1はレギュレーションでシーズン中のテストは禁止されている。ただし、ピレリのタイヤテストは年間1000kmまで許されているが、その場合に使用する車両は特定のチームがアドバンテージを得ないよう、2年落ちのマシンを使用することとなっていた。

 この一件は国際法廷で審議が行われ、メルセデスAMGとピレリは「戒告」を受け、さらにメルセデスAMGは7月に予定されていた若手ドライバーテストへの参加が認められなかった。だが、あるライバルチームのエンジニアは言う。

「若手ドライバーテストの走行距離は3日間で1000kmにも満たない。レギュラードライバー2人で徹底的に走り込みを行って得たメルセデスAMGのアドバンテージに比べれば、処分は軽すぎる」

(3)「タイヤトラブル」

 2013年のピレリタイヤは、2012年から構造を変更していたが、それが、ある問題を引き起こす原因となっていた。それは構造材の一部に金属製素材を使用していたことである。これによって、タイヤは温まりやすくなったが、消耗が激しく、さらにゴムが剥がれるデラミネーションというトラブルを引き起こす事態をもたらした。

 そのため、ピレリは金属製素材ではなく、2012年と同様のケブラー製素材を採用した構造への変更をチームに打診する。しかし、シーズン中のスペック変更は全チームの同意が必要で、数チームから反対を受けたピレリはイギリスGPに構造材とゴムとの接着方法を変えた仕様を持ち込んだ。ところが、今度はタイヤが破裂するというバーストを引き起こした。

 事態を重く見たFIAとピレリは、安全なタイヤを供給するという理由からタイヤのスペックを変更。その後、トラブルはほとんど起きなかった。しかし、それで各チームのピレリに対する信頼度が増したかといえば、そうでもなかった。ピレリがタイヤのデラミネーションとバーストの原因として、チーム側の使用方法を挙げたからである。それを聞いた某チームのエンジニアは、あきれ顔でこう言った。

「使用方法はピレリに内緒で行なったことはなく、すべてピレリも承諾していたのに……。仮に、使用方法に問題があるのなら、なぜスペックを変えるのかと、今度質問する機会があったら聞いてください」

 後日、そのエンジニアに代わって尋ねると、ピレリの担当スタッフはタイヤに問題があったことを認めていた。

【次ページ】 勝ちすぎたベッテルへのブーイングの嵐。

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