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“強面白かった”馬、オルフェーヴル。
ラストランの有馬記念でサプライズは? 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2013/12/20 10:30

“強面白かった”馬、オルフェーヴル。ラストランの有馬記念でサプライズは?<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

今年の有馬記念までの通算成績は20戦11勝、うちGI5勝。現在のところステイゴールド産駒の出世頭である。

 いよいよ一年の総決算、有馬記念(12月22日、中山芝2500m、GI)である。

 ダービー馬のキズナが回避したことにより、ここがラストランとなる現役最強馬オルフェーヴルの一強ムードが漂うが、はたして無風のグランプリとなるのか。それとも――。

 ここ数年、日本の競馬界で主役を張ってきたのがオルフェーヴル(牡5歳、父ステイゴールド、栗東・池江泰寿厩舎)であることは間違いない。

 オルフェーヴルは、東日本大震災の影響により、変則日程となった2011年のクラシックで、ディープインパクト以来6年ぶり、史上7頭目の三冠馬となった。さらに同年の有馬記念を制し、年度代表馬のタイトルを獲得。その走りで多くの人々を勇気づけた。

父の凶暴さ、母父の頑固さを受け継いだのか?

 父のステイゴールドは、調教助手時代に関わった池江泰寿が「肉をやれば食べるんじゃないかと思ったほど凶暴だった」という。また、母の父のメジロマックイーンも、調教中気に食わないことがあると押しても引いても動かなくなるなど、頑固なところがあった。高い競走能力とともにそうしたところも受け継いだのか、オルフェはただ強いだけではなく、気性面で非常に難しいところのある馬だ。それが成績にも表れ、デビュー3戦目の京王杯2歳ステークスでは10着に敗れている。ふた桁着順を経験してから三冠馬になったのは、この馬だけである。

 古馬になった'12年、オルフェは、その強烈な個性で、私たちを大いに驚かせる。

 まず、年明け初戦の阪神大賞典。単勝1.1倍の圧倒的1番人気に支持されながら、3コーナーで外ラチ近くまで逸走。「故障発生か!?」と場内がどよめいた。しかし、そこから走り直して凄まじい脚で追込み、半馬身差の2着に突っ込んできた。逸走したこと以上に、一度止まりかけてから2着に追い上げたことのほうが驚きだった。

【次ページ】 負けたレースでこそ強さを示す、稀有な馬。

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