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石川遼が“プロデューサー”に?
世界基準の難易度とホスピタリティを。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byKYODO
posted2013/11/21 10:30
米ツアーシード権も危ぶまれたが、2年目を迎え、復調の兆しが見える石川。三井住友VISA太平洋マスターズでは、首位に1打差と迫り、おしくも優勝は逃したが、集まったギャラリーを沸かせた。
9月中旬、石川遼はフロリダ州オーランド近郊ベイヒルにある拠点で、頭を悩ませていた。
翌シーズンの出場権を争う4試合にわたる入れ替え戦、ウェブドットコムツアーファイナルズの真っ最中のある日のことである。部屋で机に向かい、白い紙にペンを走らせて思案していたのは、自身のプレーやスケジュールについてではない。
「できたよ」
細かい数字が記された数枚のシートを受け取ったスタッフは、隣接するゴルフ場のクラブハウスから日本へ、ファクスを送信した――。
石川が今年、プロのトーナメントを主宰していたことをご存じだろうか。9月に開催された『everyone PROJECT Challenge Golf Tournament』は、日本の下部ツアー「チャレンジトーナメント」のひとつである。いわゆる“2軍戦”ではあるが、石川には「大会プロデューサー」の肩書きが付いた。
熟知したコースを、米ツアーの経験でセッティング。
会場は石川がジュニア時代に腕を磨いたコースのひとつ、栃木県のロイヤルメドウゴルフスタジアム。ファクスの送信先は、ここだった。内容は大会期間中のティとピンポジションが記されたセッティングシート。レギュラーツアーよりも短い3日間で行われたこの大会の54ホール分の設定を、石川は自ら考案したのである。
「自分が小さい頃から知っているコースだから『このホールはここに切れば、面白い』っていうのが分かっていた」
太平洋を越えた“遠隔操作”ではあったが、熟知したコースの特徴と、今年で既に70試合以上の米ツアーに出場した経験に基づいたセッティング。石川はその意図を、
「初日、2日目は全体的にコースを長く設定して、全体的に難しい印象を与えたかった。それで3日目(最終日)はティを前に出したりして、勢いを出せる選手にチャンスが生まれるように。逆に逃げる立場の選手には難しく『狙えるけど、狙わない方がいいかな……』と迷うピンポジションにしようと思った」
と説明した。