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14歳の妹・葉子のプロツアー挑戦を
優しく見守る石川遼の“兄心”。 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2010/09/04 08:00

14歳の妹・葉子のプロツアー挑戦を優しく見守る石川遼の“兄心”。<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

兄曰く「ヘッドスピードが速い」という葉子選手。兄より2歳以上速いツアーデビューを飾っている

 自分の妹がプロのツアーに出場すると聞いた時、石川遼は不安を覚えた。

 いくら賞金王の妹であっても、まだ中学1年生である。小さい頃から一緒にゴルフを続けてきたとはいえ、ジュニアでの実績もさほど目立ったものではなく、兄はその実力のほどをよく知っていたからだった。

 石川葉子が初めて出場した女子ツアーは3月に鹿児島で行われた「Tポイント レディス」だった。同大会は今年から開催された新規トーナメントで、話題性のある選手がいれば注目も集まる。そうした思惑も絡みつつ、たぶんに“兄の七光り”的な主催者推薦出場ではあった。

「まさか自分の妹がこういう形でチャンスをいただけるとは思ってなかった。ただ、結果は全然期待してないです。アマチュアのトップ選手が出ても緊張するのに、アドバイスしようがないし、絶対に予選落ちだと思う。社会科見学みたいなものだけど、周りのプロに迷惑をかけないようにしてほしい」

 結果は兄の予想通りに通算24オーバーの最下位105位で予選落ちに終わった。しかし、高い注目度を見込んだ大会の主催者からは、その後も次々と出場オファーが寄せられた。

 葉子は尻込みすることなく、そうしたチャンスに積極的にトライしていった。ただし、本人の頑張りは別にして、結果はある意味で順当なものばかり。ステップアップツアーの「ANAプリンセスカップ」では通算19オーバーでブービーの105位。宮里藍も出場した「NEC軽井沢72」は通算13オーバーの最下位で予選落ちだった。

妹の成長を感じつつも「まだまだ早いよ」と兄は辛口。

 妹が国内でツアー出場を続ける一方で、シーズン前半戦の石川は慌ただしく日本と海外を往復し続けていた。心も身体も休まる時はあまりなかったが、今季メジャー最終戦となる全米プロが終わると、翌週の国内ツアーを欠場して夏休みとも言える1週間のオフに入った。

 2泊3日の家族旅行にも出かけ、海で遊んだり温泉につかったりと家族水入らずの時間を過ごした。その間に葉子と小学5年生の弟・航くんと3人で一緒にラウンドする機会もあった。

 カンカン照りの真夏日、暑さも少し和らいだ時間からスタートした久しぶりの兄妹ラウンド。プロツアーでの経験を励みに練習してきた妹の成長は感じつつも、兄はそこでやっぱり不安に思うのだった。

「一緒にプレーしてみて、うまくはなってるけど、やっぱりまだまだ早いよと思いますよね。そういう意味では、他のプロの皆さんに迷惑をかけてないかなっていう不安もある。ツアーだからギャラリーもいるわけで、わざわざ見に来ている人たちを魅了するだけのプレーはさすがにできないなと思いますもん」

 8月の最終週、福岡で行われた男子ツアーと北海道で行われた女子ツアーに兄妹は同時に出場した。兄は短いオフのリフレッシュ効果を生かして好スタートを切り、最終日まで優勝を争って6位になった。一方の妹は通算21オーバーの104位で再び予選落ちの悔しさを味わった。

【次ページ】 妹にプロデビューを勧めないのは、石川遼の“兄心”!?

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