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ブンデス復活を告げる、W杯後の2つの成長物語。~見所満載のシーズンを展望する~
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2010/09/02 06:00
今季もブンデスリーガの優勝候補はバイエルンだ。ファンハール監督の就任1年目でドイツカップとリーグで優勝、CLで準優勝を果たした昨季の主力が健在で、彼らの優位は動かない。
対抗馬となるのは昨季2位に入った、マガト率いるシャルケか。CLはもちろん、52年ぶりのリーグ優勝を勝ち取るためにラウールやメッツェルダー獲得で飽きたらず、さらなる補強に動いている。
昨季前半戦を首位で折り返しながら、経験のなさから失速したレバークーゼンはバラックを迎え、タイトルを狙う。
この3チームを中心に、得点王のジェコを引きとめた上、20億円を超える資金を投じて大型補強を行なったヴォルフスブルクや、主力を21歳前後の選手で固め、シーズン中の成長が見込まれるドルトムントが絡んでくることになるだろう。
内田のシャルケと香川のドルトムントはライバル同士。
W杯直後の今シーズンは、2つの成長物語に注目してはどうだろうか。
ひとつ目は、南アフリカW杯で躍動したドイツ代表選手たちの、その後の成長の物語だ。ドイツ代表は全チームの中で平均年齢が3番目に若いチームだった。バイエルンには20歳のW杯得点王ミュラーや、W杯での不甲斐ないパフォーマンスの雪辱に燃える21歳のバドシュトゥーバーや20歳のクロースがいる。シャルケでは24歳の守護神ノイアー、ブレーメンでは21歳のマリンが活躍する。
もうひとつは、日本人選手たちの成長の物語だ。ドイツでの4シーズン目を迎える長谷部は、クラブの行なった大量補強にも動じず、レギュラー獲得に自信をのぞかせる。また、今季から内田がプレーするシャルケと香川がプレーするドルトムントはライバル意識が強く、この2チームの対戦は「レヴィアー・ダービー」と呼ばれるドイツ最大のダービーマッチで熾烈な争いとなる。今後、日本代表の中核を担うと見られる選手たちは、厳しい戦いを経てどんな成長を遂げるのだろうか。中位のチームでは、若き戦術家スキッベ監督の下で飛躍が期待されるフランクフルトや、フロンツェック監督と長期契約を結び復活の兆しを見せている古豪ボルシアMGなども面白い。両チームは昨シーズン、バイエルンやシャルケを相手に真っ向勝負を挑み、結果を残している。
ドイツサッカーの低迷期と重なった「ゼロ年代」は終わった。見所の多い今シーズンは、ブンデスリーガの復興を告げるシーズンとなるかもしれない。