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バルサ&レアルに次ぐ第3勢力、
新生ビジャレアルに注目だ!
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byMutsu Kawamori
posted2010/08/27 10:30
ビジャレアルBから引き上げられたFWモンテーロ。昨季は32試合に出場し、10ゴールを挙げた
今季のリーガも、バルセロナとレアル・マドリーの2強が実力的に抜きん出ている。シーズンを通してこの2強を脅かすというチームを予想するのは難しいだろう。
そんな2強であっても、長いシーズンを戦い抜く上で不覚を取りかねないのが攻撃サッカーが席巻するリーガの醍醐味でもある。番狂わせを起こせるだけの地力を持ったセビージャ、アトレティコ・マドリーら第3勢力の中で、個人的にはビジャレアルに注目している。
今季のビジャレアルは'05-'06シーズンにCL初出場にして準決勝まで進んだ“リケルメ時代”から数えて、3回目のサイクルを迎えている。
4年前の快挙の原動力となったリケルメとフォルランを放出した後、'07-'08シーズンにはリーガで2位の好成績を収めている。トマソン、ニハトらベテランとロッシ、カソルラら若手がバランスよく融合した魅力的なチームだった。
これら2回の隆盛をもたらしたペジェグリーニ監督は昨季、その実績が認められてついにレアルへと迎えられた。そこで不当な扱いを受け、ペジェグリーニはわずか1シーズンしか指揮を執れなかった。だが、モウリーニョのような派手さもない彼がレアルの監督に抜擢されたというところに、ビジャレアルで彼が築いたチーム体制がいかに素晴らしかったかが分かるというものだ。
降格圏内のチームをガリード監督はどう再建したのか?
ペジェグリーニが去った昨季、ビジャレアルはバルベルデを監督に迎え、新たなサイクルへと踏み出そうとした。しかし、結果は失敗に終わった。新戦力ニウマールの出遅れ、カソルラ、セナら主力の負傷離脱も重なり、序盤から躓き、1月末でバルベルデは更迭されてしまった。
一時は降格圏内まで落ち込んだビジャレアルが浮上したのはシーズン後半だった。キーマンとなったのは、バルベルデの後を継いだガリードである。
それまでセグンダ(スペイン2部)のビジャレアルBを率いていたガリードは、就任して早々にビジャレアルBから積極的に選手を引き上げた。チーム内には激しい競争がもたらされ、結果的にチーム力の向上につながった。ガリードが採用した新システム、ロッシ、ジョレンテ、ニウマールによる3トップもはまり、驚異的な巻き返しを見せたビジャレアルは昨シーズンを7位で終えたのだった。