欧州CL通信BACK NUMBER
バルサとバイエルンが打ちまくる!?
CL準決勝、攻撃的2クラブの激突。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byEnrico Calderoni/AFLO SPORT
posted2013/04/23 10:31
2008-09シーズンの準々決勝で対戦した時のメッシとリベリー。この時の対戦では、1stレグでホームだったバルサが4-0と大勝し、2ndレグで1-1と引き分けている。
バイエルン・ミュンへンとのチャンピオンズリーグ準決勝を翌週に控えたレバンテ戦の試合後のことだ。
この日決勝点を決めたセスク・ファブレガスは、バイエルン攻略の鍵として、こんなことを語っている。
「この試合の鍵はバイエルンからボールを奪うことだ。バイエルンには素晴らしい選手が揃っているし、攻守に穴のないチーム。ロッベンにリベリー、そしていま乗っているゴメスまでいるから」
セスクが試合の鍵として、バイエルンからどうボールを奪うのかという、守備に関するものをあげたことはとても興味深い。
通常、バルサの選手はどんな試合を前にしても「常にボールを保持し続けて攻め続けるだけだ」ということを口にするからだ。
もちろんセスクも、そしてバルサも高いポゼッションを保って攻め続ける姿勢は崩さないだろう。しかし今ではバルサの面々は、バイエルンを大きな脅威として捉えるようになったのである。
頂点に君臨してきたバルサと、徐々に登り詰めてきたバイエルン。
近年の欧州サッカー界の頂点に立っていたのはバルサだった。
ピラミッドの頂で彼らが時代を謳歌している間に、バイエルンはそれに追いつけと年々階段を上り続けた。昨季はCL決勝を戦うなど、経験を積みながらチーム力をあげてきたバイエルンは、いよいよ今回、ある意味で指標とし続けたバルサを目の前に迎えることになったのだ。
両者の4月22日時点での調子は、だいぶ異なっている。
バルサはやや下降気味だ。準々決勝のPSG戦でも苦しんだように、かつての圧倒的な強さは、もはやごく稀にしか見ることができない。1-0でなんとか競り勝った直前のレバンテ戦も、本来の出来からはほど遠かった。
一方でバイエルンは前節のハノーファー戦で6点を奪い大勝するなど、勢いでは完全にバルサを凌駕する。世論調査やオッズではバルサよりもバイエルンを推す声の方が多いところにも、彼らへの評価と期待が表れている。