Jリーグ万歳!BACK NUMBER

2013年、柏レイソルは生まれ変わる!
ACL初戦勝利で見せた「成長」の証。  

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2013/02/28 12:40

2013年、柏レイソルは生まれ変わる!ACL初戦勝利で見せた「成長」の証。 <Number Web> photograph by Getty Images

虎の子の1点を奪ったクレオ(写真中)とレアンドロ・ドミンゲス(左)。柏は、高さに勝る貴州のロングボール攻撃に苦しめられたが、システムを変更するなど柔軟に対応し、勝利に結びつけた。

毎年ACLに出ることが成長のための最低限のノルマ。

「改めて、クラブW杯で経験した4試合での成長はものすごく大きかったですよね。本当に大きな手応えがあった。試合をやりながら、成長を実感することができたんですよね。だから、ああいう舞台にもっと出て行かないといけない。毎年ACLに出る、クラブW杯に出るということが、僕らが成長していくための最低限のノルマだと思います」

 J2優勝、J1優勝と立て続けに結果を獲得してきた柏は、一つタイトルを取るたびに自分たちが立てる舞台が大きくなり、それが成長につながることを肌で感じていた。だからこそ、J1連覇もACL制覇も現実的な目標であったことは間違いない。もう一度クラブW杯に出たい。それがチームの共通認識だった。

 結果的には、その思いの強さが今年元日の天皇杯優勝という“滑り込み”でのACL出場権獲得につながった。

常に選手に刺激を与え続ける指揮官が採用した3バックシステム。

 指揮官のネルシーニョは、ポジティブな意味で、選手たちに頭と身体を休める時間を与えない。激しいポジション争いによってチーム全体の緊張感を保ち、巧みな采配でピッチ内に刺激を与え続ける。結果的にはレギュラーが固定されているようにも見えるが、それがシビアな競争の上に成り立っていることを選手たちが理解しているからモチベーションが低下することはない。

 一貫して採用してきた中盤をフラットに並べる4-4-2システムも、中盤をボックス型に変えた4-2-2-2に挑戦するなど刺激を与えてきた。紆余曲折を経て昨シーズンまでに作り上げたスタイルは、ある意味、限りなく“最終形”に近い状態にまで完成度を高めていたと言える。

 ところがネルシーニョは、このスタイルにも新たな刺激を与えている。それが、つい先日行なわれたちばぎんカップ(2月17日)とゼロックス杯(2月23日)で披露した3バックシステムである。

 新戦力の鈴木大輔を3バックの右、ロンドン五輪韓国代表DFのキム・チャンスを中盤の右サイド、2トップの一角にポストワーカーとしてもフィニッシャーとしても機能するクレオを配置した3-4-1-2システムは、柏のスタイルの完成度をさらに引き上げる可能性を秘めている。

 何よりレアンドロ・ドミンゲスをトップ下に配置することで、攻撃のバリエーションはさらに拡大するだろう。守備の組織さえ整えば、このシステムは強力なオプションになり、ひいてはメインにもなり得る。

【次ページ】 昨年とは違い、やけに冷静に映る選手たちの成長。

BACK 1 2 3 4 NEXT
#柏レイソル
#ネルシーニョ
#貴州人和
#近藤直也
#蔚山現代
#大谷秀和
#鈴木大輔
#キム・チャンス
#レアンドロ・ドミンゲス
#クレオ
#菅野孝憲

Jリーグの前後の記事

ページトップ