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世界中が可夢偉の離脱に「ノー!」。
F1界はスポーツからビジネスへ。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2012/12/13 10:30

世界中が可夢偉の離脱に「ノー!」。F1界はスポーツからビジネスへ。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

鈴鹿で日本人最高位タイ記録となる3位入賞を果たした時の可夢偉。この笑顔が再びポディウムの上で見られる日は来るのか……。

優秀なスポーツマンが消え、ビジネスマンだらけのF1に。

 イタリア人ジャーナリストのアルベルト・アントニーニも持参金を優先したドライバー選択に警鐘を鳴らす。

「チームに大勢のスタッフがいて、トップチーム以外のチーム代表が資金繰りに奔走しなければならない事情があることは私も知っている。でも、ファンにとってのF1はスポーツであり、ビジネスじゃない。グティエレスはGP2でも多くのミスを犯し、ペレスに代わって走ったインドGPでは平均ペースで可夢偉から2.5秒も遅かった。まだF1を走らせるレベルにないドライバーが、表彰台を獲得したドライバーのシートを横取りするのは変じゃないか。

 今後も、このようにお金でドライバーのシートが決定するようなことが続けば、優秀なスポーツマンはF1から消え、ビジネスマンだらけになってしまう。そんなF1はファンも望んでいないと思うよ」

 チームがドライバーに持参金を求めるという話は、いまに始まったことではない。それでもドライバーの最終選定は、オフシーズン中のテスト走行で決めていたものである。しかし、いまはシーズン中だけでなく、オフシーズンのテストも制限され、ドライバーが腕を試す場がなくなった。テストを禁止している理由がコスト削減にあるはずにもかかわらず、チームの財政状況は悪化の一途をたどり、ドライバーの持参金の額だけが膨張し続けているとしたら、あまりにも皮肉な結果ではないか。

 大切なものを失う前に、ザウバーだけでなく、F1全体が立ち止まって考え直す時期に来ている。

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