スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
熱いストーヴと玉突き現象。
~イチローの動向と移籍市場の活況~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byNaoya Sanuki
posted2012/11/17 08:00
ピンストライプ姿のイチローを来季も見ることができるのか?
巡り巡って……イチローがジャイアンツ入り!?
たとえばナショナルズは、喉から手が出るほどボーンを欲しがっている。
1番を打てる中堅手を獲得できれば、粗さの目立つジェイソン・ワースの打順を変え、新人王ブライス・ハーパーを左翼にコンバートして、守備の負担を減らしてやることができるからだ。
ボーンが動けば、ブレーヴスはヴィクトリーノを獲りにいくだろう。
アプトンはレンジャーズ入りの公算が大だ。だとすれば、やはりボーンに眼をつけているレッズは、方針を換えてパガンに白羽の矢を立てるにちがいない。すると、中堅手のいなくなるジャイアンツがイチローを狙うという構図もありえない話ではなくなってくる。
イチローにとって、これは悪い話ではない。ご承知のとおり、ジャイアンツは2012年のワールド・チャンピオンだ。「スピードを重視する切れ目のないコツコツ打線」というチームカラーも、イチローと相性がよい。
私としては、もう2年ほどヤンキースに残ってもらいたい気分なのだが、まだまだレギュラーを張れる人だけに、出場機会の減少だけはなんとしても避けるべきだろう。
マリナーズ・岩隈とレンジャーズ・上原の残留は、当然の流れ。
では、日本人投手の動向はどうか。
真っ先に残留を決めたのは岩隈だった。当然だろう。
7月にローテーション入りして以降、岩隈は16試合の先発で8勝4敗、防御率=2.65の好成績を残した(通年では9勝5敗、防御率=3.16)。ただ、本拠地シアトルでの防御率が2.49だったのに対し、ロードでは4.20。この数字を見ても、マリナーズと岩隈が相思相愛の仲だったことは明白な事実だ。
岩隈同様、上原も夏以降の好投で印象点を高めた。
投球回数こそ36回と少ないが、防御率=1.75、三振/四球レシオ=43対3という数字は、なかなか立派なものだ。課題は例の一発病だが、貴重な中継ぎだけに、レンジャーズが手放すとは思えない。
となると、やはり気になるのは黒田の動向だ。