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女子プロ野球 選手寮『HOME BASE』
ライバルチームと一緒の合宿生活。 

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芦部聡

芦部聡Satoshi Ashibe

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photograph bySatoshi Ashibe

posted2010/06/15 06:00

女子プロ野球 選手寮『HOME BASE』ライバルチームと一緒の合宿生活。<Number Web> photograph by Satoshi Ashibe

両チームの主将、京都・大倉選手(左)と兵庫・川保選手

―――女子プロ野球の合宿生活は、色気より食い気―――

 時計の針が朝7時を回ると、すでにユニフォームに着替えた選手たちが、挨拶を交わしながら食堂に三々五々集まってきた。おかずをプレートに載せてテーブルに着くなり、ワシワシと胃袋に詰め込んでいく。寝起き直後だというのに、じつに旺盛な食欲である。

 大阪は高槻市にある選手寮『HOME BASE』では、昨秋のトライアウトで選抜された30名の女子プロ野球選手が合宿生活を送っている。関西独立リーグの吉田えり投手が注目を集めたが、彼女の場合は男性チームの紅一点という扱いだった。今季から発足した女子プロ野球リーグの選手は、文字通り女性だけ。兵庫スイングスマイリーズ、京都アストドリームスの2チームに15名ずつ所属し、両チームの対戦を年間40試合行なう予定になっている。選手の経歴はさまざまで、全国に6校しかない高校女子硬式野球部で活躍していた猛者もいれば、野球未経験で陸上のやり投げ出身という変わり種も。黎明期ならではの個性的な顔ぶれだ。

「ライバル同士が共同生活してるなんてと不思議がられることもあるけど、練習はチーム別だし、食事の時間もズレてる。自然とチームごとにまとまって行動してる感じです。もちろん仲は悪くないですよ(笑)」と両チームのキャプテンは口を揃える。

ぐったりする暑さの中、グラウンドを走り回る選手たち。

 日課だという合宿所の掃除を済ますと、それぞれのチーム専用バスに乗り込んで市内のグラウンドへ練習に向かう。この日の大阪は最高気温が25度を超える夏日。晴天続きでカラカラに干上がったダイヤモンドに水を撒いてから練習をはじめたが、スライディングすると盛大に土埃が舞い上がる。見てるだけでもぐったりしてくる暑さだというのに、選手たちは「ナイバッチー!」「バッチコーイ!」と大声を出しながら軽快に走り回る。夏本番を迎えるまえにすっかり日焼けした精悍な顔つきが、練習量の豊富さを物語っている。

 午前中いっぱいで練習を切り上げると、バスで合宿所に戻り、昼食の時間に。しかし、ゆっくり食べている余裕はない。選手全員が柔道整復師の専門学校に通っていて、午後からは授業が待っているのだ。引退後のセカンドキャリアのために通学を義務付けられているというが、連日夜9時ごろまで講義があるからかなりのハードスケジュールだ。シャワーもそこそこに、どんぶりをかき込む。

【次ページ】 米1合のメガ盛りビビンバをガッツリかき込む。

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