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<イラク代表監督として> ジーコ独占告白 「90分間、私は日本の敵になる」 

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竹澤哲

竹澤哲Satoshi Takezawa

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photograph byKeita Yasukawa

posted2012/09/10 06:01

<イラク代表監督として> ジーコ独占告白 「90分間、私は日本の敵になる」<Number Web> photograph by Keita Yasukawa

「戦いたいとか戦いたくないといった問題ではない」

 イラク代表監督に就任した時点で、日本と戦う可能性があることは分かっていたわけですね、と尋ねると「当然だ」と答えた。

「戦いたいとか戦いたくないといった問題ではない。私は日本代表監督をしていたときにブラジルと戦っているし、またウディネーゼでプレーしていたときはフラメンゴとも試合をしている。日本と同組になったことは、W杯出場に向けて困難さが少しだけ増したという感じだ。今日、日本はオーストラリア、韓国、イランと共にアジアの4強。日本がこのように強くなったのも、それだけの努力を近年、続けてきたからだ。

 イラクにとっては、日本に限らず対戦する4チームすべてが強敵。しかし、テニスやバレーボールのように、必ず強者が勝利する競技とは異なり、サッカーは唯一、弱者が強者を負かすことのできるスポーツだ。そしてまた、イラクがこれら4強とそれほど大きく差があるとも思っていない。そうでなければ、3次予選で強国である中国を退けることもできなかったはずだ。私が同じアジアのイラクの監督を務める以上、日本と対戦するのも当然ありうることなのだ。もっとも、長年日本サッカーに関わってきた私は日本をリスペクトしているし、私にとって日本が敵であるのは90分間だけだ」

 日本の初戦である対オマーン戦の映像は「まだ見ていない」ということだった。カタールではその試合が放送されておらず、録画したものを取り寄せているのだという。

「しかし私がまず見たいと思っているのは、12日に戦うオマーンの方だ。私は常に次の対戦相手だけに集中して分析を行なう。その後にアラブカップもあるし、9月の日本戦を考えるのはまだ先の話だ」

選手時代に学んだことを、異なった国々で役立ててもらえる幸福。

 サッカーにおける辺境での監督業も、未知のチームとの対戦も、もう慣れたものなのだろう。ジーコはトルコ、ウズベキスタン、ロシア、ギリシャと異なる環境に身を置き、監督を続けてきた。

「こんなに長い間監督を続けるとは思ってもいなかった。日本代表監督に就任すること自体、全く考えていなかったことだった。しかし監督を続けることで、私が選手時代に学んだ多くのことを異なった国々で役立ててもらえる。そのことを幸せに感じているのだ」

【次ページ】 日本の厳しいしつけが影響を及ぼした“デメリット”。

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