ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
金以外のメダル獲得数は予想以上!?
日本競泳陣、ここまでの難しい結果。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2012/08/03 12:20
200m平泳ぎ決勝で、3位に入った立石(写真右)と、ゴール直後にそれを称える北島。3連覇こそならなかったが「自分らしい泳ぎができたので悔いはないです」と語っている。
日本に世界的なレベルの競泳選手が何人もいるという状況は、1996年アトランタ五輪の時からずっと変わっていない。オリンピック開催年の日本選手権で、世界ランキング1位から3位のタイムを出す選手――いわゆる「メダル候補」が少なくとも3、4人は出る。そういう状況が、'96年、'00年、'04年、'08年と続いている。
そういった有力選手のうち何人が、オリンピック本番で、日本選手権と同じパフォーマンスができるのか。それによって、獲得できるメダルの数が決まるのである。
今回のロンドン五輪では、ことのほか、その傾向が顕著だった。
4月の日本選手権で出したタイムを上回るか、ほぼ同等のタイムを出した選手はメダルを獲っている。次の通りだ。「△」はオリンピックでタイムを伸ばしたレース。「▼」はタイムを落としたレース。
・萩野公介(400m個人メドレー) 4分10秒26→4分08秒94(△1秒32)
・寺川綾(100m背泳ぎ) 59秒10→58秒83(△0秒27)
・入江陵介(100m背泳ぎ) 52秒91→52秒97(▼0秒06)
(200m背泳ぎ) 1分54秒03→1分53秒78(△0秒25)
・鈴木聡美(100m平泳ぎ) 1分06秒80→1分06秒46(△0秒34)
(200m平泳ぎ) 2分22秒99→2分20秒72(△2秒27)
・松田丈志(200mバタフライ) 1分54秒01→1分53秒21(△0秒80)
・立石諒(200m平泳ぎ) 2分08秒17→2分08秒29(▼0秒12)
・星奈津美(200mバタフライ) 2分04秒69→2分05秒48(▼0秒79)
メダル獲得レベルのタイムでもメダルが獲れなかったのは北島のみ。
メダル候補と目されていたこの7人のうち、オリンピックでタイムを落とした選手は3人だけ(入江の本命だった200mではタイムを縮め銀メダルだった)。最大の下げ幅は女子200mバタフライ・星奈津美の0秒79だったが、これは日本選手権で出した2分04秒69が、オリンピック前まで、世界でただ1人の今季2分4秒台という、きわめてレベルの高い記録だったから、0秒79下がってもメダルを獲ることができた。
メダル候補のタイムを出していて、メダルを獲れなかったのは結果的に北島だけだった。
日本選手権では100m平泳ぎで58秒90、オリンピックの決勝では59秒79。0秒89下がっている。200m平泳ぎは2分08秒00で、大会開幕前の今季世界ランキング1位だったが、オリンピックでは2分08秒35、わずかに0秒35落としただけだったが、0秒06差で立石に及ばなかった。