ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
盤石の金メダル候補、福見友子敗退。
初五輪で待ち構えていた「魔」の瞬間。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTetsuya Higashikawa/JMPA
posted2012/07/29 13:30
得意の形に持ち込めず、準決勝で敗退。呆然とする福見友子。相手の研究と対策が勝っていたのか……。次の大会での成長に期待したい。
次の大会で、成長した福見を見たい。
その言葉のとおり、どこまでも自分に厳しく、柔道に対して真摯であった。
その一方で示す周囲の人々や後輩への気遣い、礼儀、試合や練習での作法、それらから、柔道とは、柔道家とは何かを感じさせる、伝える選手だった。
そんな柔道家だからこそ、笑顔で大会を終えてほしかった。
「最悪です」
今日の結果をそのように評した園田監督は言う。
「代表になってから調子を落とさず、あの年齢でしっかりやってきたので、誰にも恥じることなく胸を張っていいと思います」
福見をよく知るからこその、いつもは選手にとことん厳しい指導者の、心からのねぎらいだったのではないか。
福見自身は、こう語ってもいた。
「ここまで勝つための準備をずっとしてきました。金メダルを獲れなかったのは、何が足りなかったのか、もう一回考えます」
考えた末にもうひと回り成長した柔道家としての姿を、次の大会で見ることができたら。
そんなことを思う。