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<2012日本男子ゴルフツアー展望> 鎖国化を食い止める石川遼と3人の男たち。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byGetty Images
posted2012/03/22 06:01
石川遼――今季米ツアー5戦目のプエルトリコ・オープンは単独2位。出場試合数制限が解除される特別一時会員資格を得た。
世界とリンクしていける選手は誰なのか。
世界とのつながりを次々に失い、ガラパゴス化していく島国の男子ツアー。海外の各ツアーが連携を深め、グローバル化していくのとは対照的な姿である。それでもこの数年は石川遼という特需があったから内向きなままの進化でもよかった。しかし、その石川も昨年は未勝利に終わり、成長神話にかげりが見え始めた。いざ活躍し始めたとしても、今度はいつ海外へ旅立ってしまうともしれない。
では、世界とリンクしていける選手は誰なのか。ツアーを俯瞰した時に考えてしまうのはそんな疑問である。
とすれば、松山はその有力候補だろう。アマチュアとして2年連続でマスターズに出場することになり、昨年11月には石川以来のアマでのツアー優勝も成し遂げた。昨年の国内男子ゴルフの主役はまぎれもなく松山だった。
同学年の石川はいつもちらりと意識し続ける存在であり、周りからもライバルとして見られ、比較されるようになった。
「自分はまだまだ未熟という気持ちが強いほど上達できるし、高いレベルを維持できる。そういうところで自分と遼は似てるのかなと思います。でも、別にライバルは遼だけじゃありません。遼のことはうまい同級生、先に進んでる同級生としか見てないんです。一緒に競い合っていけたらいいなという程度です」
石川、松山のライバル関係は世界の舞台へと発展していくのか?
昨季は引き立て役に回ったにもかかわらず、石川は松山の台頭を大歓迎している。そこには日本から世界に挑む同志を得た感覚があるのではないか。
「英樹はものすごい選手になりましたね。メディアの方にはいろんな選手をどんどん大きく取り上げてほしいなと思うので、何も僕の方が写真が大きくなきゃイヤだとかは全然思いません。いくら目立ちたがり屋の僕でも(自分の露出は)もう十分ですから」
今季の松山は昨年以上にツアーに参戦していく意向を示している。余裕たっぷりの石川を嫉妬させるほどの活躍ができれば、両者のライバル関係は日本の枠を超えたスケールに発展していく。そんな期待を抱かせてくれる20歳の2人なのである。
ただし、松山はまだアマチュア選手。ツアーを支える責を負わせる立場にはない。だからこそ年輪を重ねてきたプロに牽引役を期待したいのだ。