リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
伝統を放棄して180度の方向転換。
“革新派”A・ビルバオの魅力。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byMutsu Kawamori
posted2011/12/15 10:31
バルセロナに引き分け、セビージャに勝利し……と注目を集めているアスレティック・ビルバオ。バルセロナと引き分けたという戦果は、戦術マニアとされるビエルサ監督の面目躍如といったところか
目覚めはじめたムニアイン、スサエタらの若き才能。
一方で、新しいスタイルへのチャレンジが選手のやる気を掻き立てているのも事実だ。昨季までは相手の出方を見てから動いていたけれど、いまは先手を打っていける。ムニアインやスサエタといった創造性豊かな選手が伸び伸びとプレイするのは道理である。
特にムニアインだ。2年前、クラブ史上最年少の16歳と7カ月でデビューし、リーガ史上最年少得点者となった彼はビエルサの下で成長のスピードをぐっと上げた。試合の展開に及ぼす影響力が大きく増している。流れを読む目。速いドリブル。柔らかいボールタッチ。適切なポジショニング。どれも元々持ち合わせていたものだが、この数カ月でレベルを一段上げた。あるいはポテンシャルを発揮し始めたと言った方が良いのか。いずれにせよ、エースのジョレンテと共に、新アスレティックのカギを握っている。
クラブの文化にあえて背を向け、効率をも顧みず、新たな道を進み始めたアスレティック。その歩みを見守るのは今季リーガの楽しみのひとつとなりそうだ。