ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
<五輪代表連続インタビュー#3> FW・永井謙佑 「おいしいところを持っていきたい」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byToshiya Kondo
posted2011/12/14 10:31
今年9月には福岡大学時代の同級生だった女性と結婚した永井。アジア最終予選の2試合でキャプテンとして活躍するなど、新たな魅力と可能性を見せ始めている
「ひっくり返されるんじゃないかといういやな感じ」
――1-1に追いつかれたときは?
「流れが完全にシリアに行っていたので、このままひっくり返されるんじゃないかといういやな感じはありました。相手の10番は本当に上手かったですからね。大きいだけじゃなく、個人でもいけるので、かなりやっかいだなって。ただ、相手は同点になると後ろに引いて、引き分け狙いというようになった。だから、僕は途中から出たけど、スペースがほとんどなくて、サイドからのセンタリングに合わせるしかないなと思っていました」
――最後は、再び大津が決めてくれた。
「比嘉がクロスを上げるとき、マイナスに来ると思って僕はそこのポジションをキープしていたんです。そしたらファーサイドに行って、誰もいないだろうと思ったら大津が飛び出してきた。大津は調子が良かったし、誰よりもよく動いて、タメを作り、攻撃の起点になっていた。みんなやりやすかったと思います。勝ってほっとしました」
「正直、代表は途中から入るとリズムに乗るのが難しい」
――ここ3戦すべてサブでの起用だったが、途中出場することに対してどう感じた?
「難しいですね。途中から入るのはグランパスで慣れてはいるけど、やっているサッカーが違うんで。正直、代表は途中から入るとリズムに乗るのが難しい。縦に速く攻めて、素早く戻ってくるんで、全体的にスピードが早く、その流れになかなか乗れないんです。あと、僕が入るときは、周囲の選手は疲れているじゃないですか。余計に自分がやらなきゃと思って、逆に空回りしたりする。思ったようにプレーできなかったのが悔しいですね」
――大津のように攻撃陣にいい選手が出てきた。ゴールも最終予選では上げられていない。危機感はある?
「別にあせってはいないです。自分は与えられた役割を果たすだけ。ゴールも時間帯や出場時間によって影響されるけど、入るときは入るし、ダメなときはダメなので。でも、シュート自体が少ないので、もっと打たないといけないのはわかってる。最近、シュートの意識がちょっと薄れていて、自分の視界にフリーな人が見えるとパス出してしまうんですよ。グランパスでの練習もパストレが多くてシュートを打つクセがなくなっている。そこはカイゼンしていくしかないですね」
――2012年は2月5日、アウェーのシリア戦という大一番から始まる。
「勝てばロンドン行きをほぼ決定づけられる。ただ、シリアはシーズン中で、日本はシーズンオフの時期なので、コンディションや試合勘の面で不利だなというのはあります。相手はこの前以上の勢いで前に出てくるだろうけど、自分らはそれに臆せず、しっかり守備から入って失点しないでいければ、必ずチャンスはある。そこで自分が出ておいしいところを持っていきたい。今年はあまり運を使ってなかったので、来年は早々にサッカーの神様が運をくれるんじゃないかと期待しています(笑)」