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これがW杯優勝候補?
ドイツ代表に漂う停滞感。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byUniphoto Press

posted2010/03/18 10:30

これがW杯優勝候補? ドイツ代表に漂う停滞感。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

決して強くはない現アルゼンチン代表に、完封負け。レーブ監督のドイツは逆風にさらされている

 ドイツは引き立て役になり下がってしまった。

 3月3日、ディエゴ・マラドーナ率いるアルゼンチン代表との試合では、良いところなく0-1で敗れた。ボールこそ支配したものの、作り出したビッグチャンスはアルゼンチンの4つに対して、ドイツは1つだけ。W杯南米予選で苦しみ、代表に招集された選手が100人を超えるなど、ここまで迷走を続けてきたチームに、自信を与えるだけの試合をしてしまった。

 試合後には、マラドーナ監督から「ドイツはW杯の優勝候補には値しない」と言われ、ドイツ代表でキャプテンを務めるミヒャエル・バラックは「僕たちはリスクを冒さないプレーを続けてしまった。見ている人にはつまらない試合だっただろう」と吐き捨てた。

 実は、この一戦の少し前にはピッチの外でもゴタゴタがあった。ヨアヒム・レーブ監督との契約問題である。W杯終了後に切れるはずだった契約は、2012年のEURO終了後まで延長することが昨年12月に内定していたのに、突如、白紙に戻されてしまったのだ。

南アW杯出場を決めてから勝ち無しの2分1敗。

 ドイツは、2008年のEUROを準優勝で終え、W杯予選ではロシア相手の2勝を含めて8勝2分の無敗で乗り切った。着実に力をつけているように見えたのだが、W杯出場を決めてからの3試合は2分1敗で勝ちなし。暗雲が立ち込めている。

 現時点で最も大きな問題は、4-2-3-1のフォーメーションでバラックとダブルボランチを組むと見られていたシモン・ロルフェスの負傷だ。以前、このコラムでも紹介したバイヤー・レバークーゼンのキャプテンは、1月に右ひざにメスを入れ、復帰できるのは早くても4月以降。本大会出場も危ぶまれている。

 これに伴い、バイエルン・ミュンヘンで今季ボランチとして新境地を開いたバスティアン・シュバインシュタイガーが、右MFからポジションを移すことになった。そして、アルゼンチン戦では右MFにトーマス・ミュラーとトニ・クロースという20歳の若い二人が試された。二人にとって、この試合が代表デビュー戦となったが、実際には目立った活躍は出来なかった。

メンバーを固定してチーム強化を図ってきたが……。

 W杯予選でドイツ代表としてプレーした選手数は27人。W杯に出場する32カ国の中で、この人数は5番目に少ない。「代表での実績とチームへの貢献度」を基準にして、新たな血を加えるよりも、少ないメンバーを鍛え上げることで、レーブはチームを強化してきた。ところが、ロルフェスの離脱により、その方針を変えざるを得なくなったわけだ。

 さらに、アルゼンチン戦では継続した強化による成果も見られなかった。ほとんどのパスは足下へつなぐ無難なものばかりで、ダイレクトのパス交換もほとんど見られず。一人あたりのプレー時間を短くし、ボールを奪ってから素速く相手ゴールに仕掛けるというコンセプトとはかけ離れた戦いぶりだった。

【次ページ】 リーグとまったく異なるFW陣の起用法に問題が噴出。

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