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パ・リーグ新人王争いの本命!?
楽天・塩見貴洋の2つの武器とは。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/08/10 12:05
「澤村(巨人)、斎藤……成績に人気。絶対に負けたくないですね」と、新人王争いに並々ならぬ熱意を見せている塩見貴洋
本塁打王争いを独走する中村剛也を4打数無安打に!
結局、このオリックス戦では最後まで相手に的を絞らせず、6安打1失点でプロ初完投。
得意とする球種がパ・リーグでも十分に通用することを証明してみせた。
「だんだんと低めに、自分の思うようなところにボールを集められるようになって、空振りも取れるようになってきました。それに、6月までは、どちらかというとがむしゃらな部分もありますけど、今は考えて投げられるようになったので、相手はよりフォークを意識してくれるし、そうなるとストレートもかなり生きてくる。手応えは感じていますね」
8月2日の西武戦では、フォークに加え内角の速球で強気に攻めた。
フォークを有効活用しながらも、本塁打ランキングトップを独走する主砲の中村剛也に対してだけは内角の速球で挑み、4打席無安打と完璧に抑えた。
自身2度目の完投勝利。今季ベストパフォーマンスと言っていいほど圧巻の投球内容だった。
「この試合は調子が良くて、全体的にきわどいコースに決まっていたのもありますけど、中村さんクラスのバッターにはあのくらい極端に内角に攻めないと抑えられないんで。中途半端に攻めるよりは、『打たれてもいい』くらいの気持ちで思い切り投げたことが、いい結果に繋がったんだと思います」
打たれてなお期待を抱かせる成長著しい、その投球術。
ここまで自信を高めてきた塩見の絶対的な武器が、冒頭に書いたように、中田翔に打たれたのだ。
打たれはしたが、捉えられた理由ははっきりしている。
まず初回のフォーク。1試合あたりの四球が2つ以下、「持ち味は簡単にフォアボールを出さないこと」と制球力に自信を持つ塩見だけに、ストライクを取りにいき高めに浮いてしまった、と考えられなくもない。
そして5回の内角の速球。
中村との対戦での言葉を借りれば、「打たれてもいい」という強気の姿勢で攻めたが、打球が飛んだ位置が悪かった。打った中田本人も「詰まった」と言っていたように、少なくともこの打席の勝敗に関しては紙一重だった。
この日の敗戦から塩見は変わるはずだ。