野球善哉BACK NUMBER
日本ハム・中田とオリックス・岡田。
“未来の大砲”の異なる起用法。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2009/06/24 13:50
顔つきまでが変わりファームで打ちまくっていた岡田。
ところが、今年は違った。キャンプ半ばから頭角を現し、開幕一軍こそ逃したが中田と同じようにファームの試合で打ちまくった。カブレラやローズの故障離脱などと相まって、中田より1日早く一軍に昇格したのである。入団年の終盤以来という、久しぶりの一軍登録であった。
ただ、中田と少し違っていたのは、岡田の調子が落ち気味だったこと。シーズン序盤は4割超あったアベレージも、下降線を辿っていた。中田に比べると、岡田は時期外れの一軍昇格だった。
だが大石監督の岡田の扱いは、梨田監督による中田への扱いとは全く逆だった。この起用法という点で、中田と岡田の大きな違いが出てくるのだ。数字にするとこうなる。
一軍在籍日数も試合出場日数も、中田が多いのにもかかわらず、打席に立ったのは岡田の方がはるかに多い。つまり、成績としては中田の方が良いが、岡田は自分に足りないものが何かを体感する機会(打席数)が、圧倒的に多かったのだ。全試合スタメンの岡田と、スタメン出場が1試合しかなかった中田とは大きな違いである。
降格後も順調に成績を伸ばすふたりのスラッガー。
二軍に帰ったふたりは、今頃どういう気持ちで野球に取り組んでいるだろうか。多くの打席をこなし課題を浮き彫りにできたはずの岡田と、時間だけを費やし少ない打席数で問題点を見つけなければいけなかった中田と、どちらの一軍昇格により大きな収穫があったのか。
その答えがすぐに出るとは思わないが、岡田は2軍に落ちてから14試合で5本塁打をかっ飛ばし、その数を14本まで伸ばしている。あくまで「一軍定着」が目標であるが、ウェスタンにいる限りは「30本塁打」を目指していくという。一方で、中田は降格直後の試合で、特大本塁打を放ち、アピールすることも忘れていない。
交流戦の短い期間にだけ、その大器の片鱗を見せた中田と岡田。本物になるのはどちらが先か。短い間隔での昇格と降格であったが、ふたりのどちらの起用法に意味があったのか……まだしばらく二軍の彼らから目が離せない。