日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
18年ぶりに大学生A代表がデビュー。
“秘密兵器”山村和也の実力は?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT
posted2009/12/27 08:00
中学まではFWやMFだった山村。国見高校でDFに転向し才能が開花した。高校3年生時にはU-18にも選ばれるようになり、その後は各年代の代表に呼ばれている
荒削りで経験不足ではあるが「10年に1人の逸材」。
なかでも特に注目したいのが流経大2年の山村和也である。
所属する流通経済大学ではセンターバックを務め、U-20代表では主にボランチとして起用されている。先のU-20韓国代表戦ではボランチで途中出場して、ロングパスからチャンスをつくっている。まだまだ荒削りではあるものの、当たりや空中戦の強さもあり、後方から正確なパスを出せるのは魅力だ。
今回のイエメン戦は菊地、吉田をディフェンスで起用し、蓋を閉める場合に岡田監督が山村をボランチで使う可能性がある。
あるJ1クラブのスカウトに、山村の評価を聞いた。
「足もとの技術があって、ボールをさばけるという点ではボランチのほうが適しているように思う。守備はアグレッシブだし、大学に入ってからグンと成長している。1つ1つのプレー精度が上がっていけば、将来が楽しみな選手」
山村の素材がトップクラスであることは疑いもない。流経大の中野雄二監督も「10年に1人の逸材」と太鼓判を押している。
だが、代表でアンカーを担うには経験が不足している。このポジションには、状況を読む確かな目が必要だ。最終ラインと中盤のつなぎ目となるにはバランス力や、判断のスピードの速さが求められる。
山村は岡田ジャパンの“秘密兵器”になり得るか?
山村の才能を伸ばすためには、本職をボランチにするのか、センターバックにするのかはっきりと決めたほうがいい。もしボランチで行くのなら、もっと経験を積ませなければならない。現に中野監督も、代表がボランチで育てる方針ならば、大学でも同じ起用法にすることを検討している。10クラブ以上が殺到しているという来季の特別指定の受け入れ先でも、代表と同じポジションで起用してくれるクラブに預けたいと考えているという。
南アフリカW杯でのメンバー入りを目指すなら、センターバックよりもアンカーとして狙っていくほうがチャンスがあるだろう。20歳ぐらいの選手には驚異的な伸びしろがあるため、“秘密兵器”になる可能性は高い。
岡田監督はこれまでも若手を積極的に使ってきた。'98年フランスW杯の前に柳沢敦や中村俊輔をテストし、本大会には当時18歳の小野伸二を連れていった実績がある。
山村にとってまず大事なのは、イエメン遠征の間に岡田監督のハートをつかむことだ。
東海大の礒貝洋光ら以来、18年6カ月ぶりに誕生した“大学生A代表”のチャレンジや、いかに――。