プレミアリーグの時間BACK NUMBER
リーグ後半戦、代表復帰をかけた
オーウェンの逆襲が始まる。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2010/01/26 10:30
カーリングカップのシティ戦で途中出場ながら抜群の動きを見せたオーウェン。悲願の代表復帰に向けて、コンディションは上々だ
シーズンをプレミアリーグ2位で折り返し、後半戦で得意の追い上げが期待されるマンチェスター・ユナイテッド。マンチェスター・ダービーとなったカーリングカップ準決勝では、アウェーでの第1レグ(1月19日)で逆転負け(1-2)を喫したものの終始シティを攻めた。特に終盤20分間の猛攻は圧巻だった。
そのきっかけとなったのは72分のマイケル・オーウェン投入だ。もともと深めだったシティのDFラインは、背後を狙うオーウェンを警戒してさらに深くなった。前方に広がったスペースでチャンスに絡むオーウェン。なかでもGKの好セーブに阻まれたが、途中出場から5分後にウェイン・ルーニーとのワン・ツーで絶好機を演出した動きは目を引いた。年齢が30の大台に乗っても前線での存在感は衰えず。オーウェンは、やはりオーウェンなのである。
ただし、前半戦での成績は国内外のカップ戦を含む25試合出場で7得点。うち16試合は途中出場とレギュラーではなく、昨夏の電撃移籍後にインパクトを残したとは言い難い。
にもかかわらず、オーウェンには代表復帰を望む声が絶えない。
代表復帰待望論は過去の栄光から来た話ではない。
イングランドの人々の脳裏に、オーウェンがまだ10代だった1990年代、プレミアと代表の両ステージに颯爽と登場した当時のイメージが強烈に刻まれていることは事実だ。だが、代表を率いるファビオ・カペッロが、2年前の就任以来1度もオーウェンを招集していない現状では、センチメンタルな記憶だけで代表復帰の声はあがらないだろう。
「まだチャンスはある。諦めるな」とエールを送るユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督をはじめ、オーウェン支持を口にしてはばからない人々は、限られた出場時間の中でも「やってくれる」という手応えを掴んでいるのだ。
昨年9月、終盤に投入されたリーグ戦でのマンチェスター・ダービーで、後半ロスタイムに奪った決勝ゴールには、オーウェンの得点感覚と勝負強さが集約されていた。先発出場でハットトリックを決めた同年12月のヴォルフスブルク戦(CL)では、巧妙なチップキックでネットを揺らした3ゴール目が「円熟の極み」とファーガソンに絶賛された。直後に『ガーディアン』紙が行った世論調査では、回答者の8割強が「YES」とオーウェンの代表復帰を望んでいた。