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松坂にとって肘の手術は大チャンス?
トミー・ジョン手術で剛腕復活も!
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAP/AFLO
posted2011/06/13 10:30
今季は8試合に登板し、3勝3敗で防御率5.30、クオリティ・スタートは2だった松坂大輔
レッドソックスの松坂大輔が「トミー・ジョン手術」を受けた。
手術を前にした松坂はテレビで見る限りでも深刻な表情を隠そうともせず、
「野球人生最大のピンチ。それをどう変えるかは自分自身。試練を与えてくれた野球の神様に感謝できるようになればいい」
と話す一方で、
「戻ってくるピッチャーが多いのは分かっているけど、100%ではないし、最悪のことを考える。初めてのことなので不安が大きい」
と真情を吐露している。
本人は深刻なようだが手術の成功率は高い。球速アップの可能性も!
しかし手術自体は成功率がかなり高くなっており、それほど深刻に捉える必要はないと思う。
かつて私は、NumberWeb上で「じん帯断裂のストラスバーグ。トミー・ジョン手術は大丈夫か?」という原稿を書いたが、そこでは手術の安全性だけではなく、カムバックした後には、球速が上がる投手がいることも指摘した。
決してじん帯を移植したからといって球が速くなるわけではなく、身体全体をメンテナンスし、リハビリを行うことで身体全体が強化され、投手として生まれ変わるチャンスがあるのだ。
最近の取材では、アメリカでは大学時代にトミー・ジョン手術を受けると、ドラフト時の評価が下がるどころか、「もう済ませているのか」と、かえって安心感を持たれる場合もあるという。
とにかく手術をするなら若いうち――トミー・ジョン手術に関してはアメリカではそうした流れが確実にある。だから、松坂の場合も深刻に捉える必要はまったくないと思う。
むしろ、横浜高校時代から大車輪の活躍をしてきただけに、1年以上にも及ぶリハビリは松坂にとって蘇生するチャンスを与えられることになるとさえ思うほどだ。