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無念なり、BMWのF1撤退。
~ホンダ同様、1勝で終わるのか?~
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byHiroshi Kaneko
posted2009/08/19 11:30
これまでF1に注いできた資金はすべて「サステイナビリティ(地球環境を守る持続可能な技術発展)の分野におけるプロジェクト」に向けるというBMW
舵取り役の不在が撤退という最悪の事態を招いた。
'04年は'02年の再現となって、フェラーリ圧勝。BMWはたった1勝。'05年はついにゼロ勝。この間、BMWがウイリアムズ・チームを買収する動きに出、ウイリアムズが強く拒否したことで両者の関係が決裂。ならばと'06年に中堅チームのザウバーを買収して、BMWは自チームを立ち上げることになる。これは当初、成功したかにみえた。
自チーム2年目の'07年はコンストラクターズ・ランキング2位。'08年は荒れたカナダでロバート・クビサがBMWチームに初優勝をもたらした。コンストラクターズ・ランキングも3位を獲得。そしてレギュレーションが大きく変わる'09年を前にBMWはKERS装着の推進派となり2勝目、3勝目を目指したが、KERSが重量バランスの自由度と空力デバイスのスペースを奪ってしまい、思惑が外れたばかりか撤退という最悪のシナリオを描くことになった。けっきょくBMWには、ロス・ブラウンやロン・デニスといったチームの舵取り役が居なかったのが痛かった。
BMW撤退で今後のF1はどう変わるのか?
チームの今後についてザウバーと協議した模様だがいまのところなんらの発展もなく、チーム消滅もあり得ないことではない。
チーム買収でエンジン・サプライヤーから待望の自前のF1チームになりながら、たった1勝でグランプリを去る……まるで昨年のホンダをトレースしているようだが、ホンダ去ってブラウンGPという後継チームを残したように、BMWもなんらかの種を落として行って欲しいと願うのは、筆者ひとりの思い込みばかりではあるまい。