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スペインへ、ニューマシンに会いにゆく 

text by

西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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posted2005/01/26 00:00

スペインへ、ニューマシンに会いにゆく<Number Web>

 1月7日に日本を発ってスペインに飛び、トヨタとホンダのF1新車発表会、その後の試走を2週間にわたって取材した。

 シーズンオフのローンチとテストをこんなに長く取材したのは初めての経験だが、内容は濃く、面白かった。昨年は年末までけっこう忙しく、その分1〜2月は3月の開幕に向けて冬眠モードかな、と思っていたが、1月8日にトヨタ、16日にホンダがバルセロナで新車発表と聞くと居ても立ってもおられず航空券の予約にかかったのだった。

 冬季オフテストが多くスペインで行われるのは天候が安定しているからだが、夜明けは遅く、出勤時間の朝の8時はヘッドライトを点けてないと走れない。まだ夜である。しかし陽が昇ると日中17度近くまで気温が上がり、無風なら半袖のTシャツ姿でいられる。セーターも脱ぎたいほどで、日本から持って行ったもので無用の長物だったのは股引と大量のホカロンだった。

 当初、バルセロナでトヨタ新車発表後シェリー酒で有名なヘレス・サーキットに飛んでその初乗りを、その後バルセロナに戻ってホンダの新車発表および初試走を取材したのだが、ホンダは再舗装されたバルセロナのサーキット路面があまりにグリップが低いという理由で急遽バレンシア・サーキットに移動。こっちも新車と佐藤琢磨を追って陸路3時間、オレンジで有名な彼の地に向かった。けっきょくヘレス、バルセロナ、バレンシアと、F1冬季テストのメッカをすべて巡礼することになった。 

今年はエンジン、タイヤ、空力のレギュレーションが大幅に変わったために、例年と違って新車が旧型車より遅いという奇妙な現象が起き、しかもトヨタ、ホンダ、ザウバー以外新車を走らせているチームはなく、単純にタイムだけでパフォーマンス比較できないのが歯がゆい。仮にトヨタとホンダが同じサーキットで走ってくれればだいたいの見当もつくのだが、同じ土俵に上がらない以上どうしようもない。

 そんなことで開幕戦予想は次回にお預けだが、今回あらためて気が付いたのは、テストランにけっこう一般のお客が入っていることだ。どうやら占有走行でサーキット・クローズドされてない限り、3ユーロ(≒400円)ほどでスタンドに入れるようなのだ。

 バルセロナとバレンシアはサーキット内レストランまでオープンしている。バルセロナではビュッフェ(15ユーロ≒2000円)を、バレンシアではメニュー(12ユーロ≒1560円)をいただいたのだが、量、味ともにすばらしかった。いずれも夕食にしてもいいくらいで、バレンシアのメニュー(定食)は前菜、主菜がそれぞれ3種類ずつあり、野菜だけのパエーリャなるものを初めて食したが、くどさがなく、旅に疲れた胃にやさしい一品だった。

 一般の観客が上記3サーキットの合同オフテストを見学するにはF1専門誌やウエブサイトで日程を把握し、サーキットのゲートでチケットを買って入る。おそらくセキュリティの関係でパドックには入り難いようだが、イタリアのモンツァなどは25ユーロ(≒3350円)でパドック券が買えるそうだ。

 冬季、ヨーロッパへの航空運賃は安いし、ホテルを取る苦労もさほどではない。それにサッカーがある。事実、ホンダの発表会当夜はバルセロナのカンプノウ・スタジアムでFCバルセロナvsレアルソシエダという好カードがあり、原稿かかえる自分を呪ったものだ。早春はスペインでF1オフテスト見学とサッカー観戦三昧、そんなツァーを来年は友人数人と企画し楽しもうかと夢をふくらませながら、いまこの原稿を帰途のバルセロナの空港で書いている。

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