野球善哉BACK NUMBER
明豊・今宮と常葉橘・庄司が決闘!
ライバル物語の続きはプロで。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2009/08/21 12:30
ライバル――。
その存在だけで、己を高められる相手、好敵手。
日々の練習の力となり、また、対峙するとなれば負けじ魂を燃やし、その心が自らを未知なる領域へといざない、スーパープレーを生みだしてくれる存在。
甲子園という大舞台はスター候補生が大勢集まる場所である。優れたアスリートであればあるほど、ハイレベルなライバルたちを目の当たりにしてその心に火がつくことになる。
反骨心という言葉に置き換えてもいい。
強大なライバルの存在で成長してきた男、明豊・今宮健太。
今大会でそんな気持ちを糧に戦っている選手とは誰か? そこで最初に浮かんだのが、明豊の投手兼遊撃手・今宮健太である。
「自分は特にマスコミから注目されているような選手にライバル心を燃やすタイプなので、負けたくないという気持ちは(甲子園にくると)どんどん強くなりますね」
今宮は、一人の野球人として、最高の舞台・甲子園で最高のライバルを相手に自分を試してみたいという高いプライドを持って大会に臨んでいた。
2回戦の西条との試合では、相手の剛球投手・秋山拓巳を強く意識し「相手は注目されている投手。彼の得意球ストレートを狙っていきたい」と試合前から宣言していたほどだ。
そしてもう一人。その今宮健太にライバル心をむき出しにしていたのが、常葉橘の投手・庄司隼人であった。
この2人が20日の第1試合で激突。試合前、傍から見てもあからさまに分かるほど互いのライバル心は燃えたぎっていた。
「試合になったらヤバイくらい燃える」男、常葉橘・庄司。
まずは今宮の言葉。
「新聞や雑誌でも、庄司は凄い球を投げると書いてあった。やりたかった選手の一人です。ライバル心を持つと力が出る方なので、1回戦は島袋(興南)、2回戦は秋山と対戦できて、本当に自分は運がいいと思っています。この2試合の反省もあるんで、それをいかしたい。チーム全員で……常葉橘を叩きたい」
一方の庄司。
「地方大会のときから、今宮と対戦したいと思っていた。今宮はプロ注目で、僕よりも小さい体なのに、149kmを投げて62本のホームランを打っている。ライバル心はあります。今はそうでもありませんが、試合になったらヤバイくらい燃えると思う」