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「J1初昇格で首位!」FC町田ゼルビア“快進撃の秘密”を新主将・昌子源が解き明かす…黒田剛監督は「負けることへのアレルギーが強烈なものが…」 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2024/04/02 17:03

「J1初昇格で首位!」FC町田ゼルビア“快進撃の秘密”を新主将・昌子源が解き明かす…黒田剛監督は「負けることへのアレルギーが強烈なものが…」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

今季、FC町田ゼルビアに加入し新キャプテンを託されたロシアW杯日本代表DFの昌子源(31歳)。J1首位を走るチーム快進撃の理由を明かしてくれた

「鹿島に帰ってきてまだ1年ですし、自分のなかではレギュラーを奪い返すという思いもありました。ただ32歳のシーズンになる僕にオファーをしてくれて、(現役の)終わりが割と近づいてくるこのくらいの年齢になると1年がどれだけ大事なのかっていうのもあらためて感じるようにもなる。パパッと(移籍を)決断できたわけじゃないです。でも自分を欲しいと強く望んでくれる町田で再起したい思いが強くなっていきました」

 決め手になったのが、「なぜ自分が必要なのか」という原靖フットボールダイレクターを通じた町田側の“プレゼン”であった。J1残留が目標ではなく、上位に食い込んでいくためにもセンターラインの強化と経験値のあるリーダーが必要なのだとありったけの熱意をぶつけられた。

「上に行くことを目標に置く一方で、J2を断トツで勝ち上がってきたのにこのままじゃダメだって危機感を募らせていたのがちょっと意外でしたね。J1は絶対に甘くないんだ、と。もっとイケイケかなと思っていたんですけど(笑)。自分たちの分析をしっかりして、J1の戦いを見据えていくなかで『昌子選手の力がほしい』と言ってくれたのは心に刺さりましたね」

黒田流トレーニングのエッセンス

 チームの伸びしろとともに、積極的な補強を見てもサイバーエージェントを筆頭株主に置くクラブの本気度を感じた。そして現場とフロントには一体感があると思えた。次に進むべき自分の道が見えた気がした。

 勝負にこだわる町田のスタイル。チームに合流してすぐ、黒田流トレーニングにそのエッセンスが詰まっていることを実感できた。

「トレーニングがとにかくシームレスなんです。メニューとメニューの間、長く休まないようにしてすぐ次に行く。集中を切らさないから、水をパパッと取るだけ。実際、試合だってそうじゃないですか。だからこのチームは最後まで集中力を持って走り続けることができるんやなって思いましたね。

 黒田監督をはじめコーチの金(明輝)さん含めてテクニカルスタッフ全員が練習から勝負にこだわっているし、(選手に)こだわらせています。いや、このクラブに携わっているすべての人がそうだなっていう印象。監督が1年通して植えつけてきたんでしょうね。(青森山田高で)勝ちを求めてチームを率いて結果を出してきた監督ですし、負けることへのアレルギーは強烈なものがありましたね」

 元々、勝者のメンタリティというものは「常勝・鹿島」で先輩たちから叩きこまれてきた。単なる経験値の高いベテランという位置づけではなく、まさにそのエッセンスを選手の立場からチームメイトに発信していくことを求められていた。黒田監督からは直にこう言葉を掛けられている。

「J1でやっていない選手も多い。だからJ1の基準を日頃のトレーニングからお前が示してほしい。その基準をつくってくれたら、どこまでやんなきゃいけないかが分かる」

投票で今季のキャプテンに就任

 リクエストどおり、プレーで基準を示そうとした。周りに要求するのではなく、背中を見せた。強度や技術のみならず、判断基準やマインドまでも。チームにすぐに溶け込み、リーダーの自覚を持ってチームメイトとも接してきた。

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