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「さよなら、エディー」密談スクープ豪紙の記者が明かす“裏切り行為”の真相と疑問「エディー・ジョーンズは日本代表にいつでも戻れたのか?」

posted2023/12/22 11:04

 
「さよなら、エディー」密談スクープ豪紙の記者が明かす“裏切り行為”の真相と疑問「エディー・ジョーンズは日本代表にいつでも戻れたのか?」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

日本代表HC就任の報道を受けて、オーストラリアメディアの大半が「日本はミスを犯した」という見解を示した

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トム・ディーセント(シドニー・モーニング・ヘラルド)

トム・ディーセント(シドニー・モーニング・ヘラルド)Tom Decent

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Kiichi Matsumoto

「エディー・ジョーンズが日本と接触した──」この報道をきっかけに、オーストラリアの国民から厳しい視線を向けられることになったジョーンズ氏。5年契約を打ち切り、日本代表の新ヘッドコーチに就任した。“8年ぶりの再任”を発表した会見では、ここまでのプロセスに「やましい点はない」と明言したが、いまだオーストラリア国民の怒りは収まっていないようだ。豪紙記者が胸の内を明かした《翻訳=井川洋一》

 今年1月、エディー・ジョーンズがオーストラリア代表監督に17年ぶりに再任された時、私たちの国のラグビーファンのほとんどは期待に胸を高鳴らせていた。彼が2003年W杯でワラビーズ(オーストラリア代表の愛称)を決勝に導いた姿を覚えていたからだ。

 とはいえ、W杯まで10カ月を切っていた段階で、デイブ・レニーからジョーンズに指揮官を交代させることは、ギャンブルに違いなかった。それでも当初は、楽観論が支配していた。その後の9カ月で物事が混乱を極めていき、ジョーンズとワラビーズの2023年が、そこまでひどいものになると予想できた人はいなかっただろう。

名声の失墜、日本協会との密談をスクープ

 率直に言って、オーストラリアにおけるジョーンズの名声は失墜した。彼自身、W杯は「ひどい惨劇だった」と感じている。ただしその理由の大部分を、彼は自身に見出すべきだ。筆者が勤務する『シドニー・モーニング・ヘラルド』紙は、ジョーンズが今年のW杯開幕前に日本ラグビーフットボール協会(JRFU)とオンラインで密談を交わしたことをスクープした。ワラビーズのファンがこれに激怒したことは言うまでもない(※日本協会は、人材コンサルティング会社が次期HCについての情報収集をオンラインで行ったことは認めたものの、直接コンタクトはとっていないと否定。ジョーンズ氏も12月7日に初めて面接を受けたと会見で明言している)。

 個人的には、ラグビーコーチとしてのジョーンズに大きな敬意を抱いている。彼は優れた手腕の持ち主で、それはこれまでのキャリアが物語っている。オーストラリアとイングランドを率いて2度、W杯で準優勝し、2017年にはワールドラグビー年間最優秀コーチに選出された。日本でも印象的な指導をし、2015年W杯では南アフリカを破り、ラグビー史に残るアップセットを遂げている。

 だが2度目のオーストラリア代表では、カオスを引き起こした。就任から5連敗して未勝利のままW杯へ突入。この時、ワラビーズ──W杯で2度の優勝を誇る強豪──の世界ランキングは9位だった。そんな時に、次の仕事の話を他国の協会としていたとしたら……。

【次ページ】 「かつての同僚は嘘つきと呼んだ」

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