「トータルでは楽天・則本の大学時代より上」大学ジャパン候補合宿で見つけた“愛知の逸材”の正体…「足りないのは全国大会での実績だけ」

　さて、ここまで「侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿」に参加した現3年生投手から多くの名前を挙げてきたが、残る1人が私の目にいちばん光った右腕だ。

「愛知六大学」に、平気で150キロを投げる剛腕がいることは聞いていたが、愛知工業大・中村優斗（176cm80kg・右投左打・諫早農業高）のピッチングを見たのは、今回が初めてだった。

　勝手な想像として、強靭な地肩の強さを発揮して、力任せに「エイヤー！」と投げまくる勇ましい姿を頭に描いていたのだが、紅白戦のマウンドで投げ始めた中村投手の「実際」が真逆だったので驚いた。

愛知工業大・中村優斗（176cm80kg・右投左打・諫早農業高）　©︎Yoshiyuki Ohtomo

すべての写真を見る（11枚）

　今の学生球界なら小柄な部類の体格だが、下半身の粘っこさがひと目でわかる。体重移動がしっかりできて、腕の振りはサラッと。優秀な投手の共通項でもある「7、8分の力感で10の威力のボール」がミットに叩きつけられる。

　サラッと投げて、課せられた2イニングの登板で投げた速球は、私の見間違いでなければ、おそらく全球150キロオーバー。打者によっては、捕球音がしてからスイングしているように見えるほどの体感スピードだ。

社会人の監督が「大学時代の楽天・則本以上」

　オープン戦で、中村投手と対戦した社会人野球の監督さんから、話が聞けた。

「いや、もう、次元が違いますよ。速いのも速いけど、タイミングが合わないって、選手たちが。振りにいこうとすると、もう入れられてるって。やっぱり、あの力感と、実際に投げてくるボールのスピードとの感覚の違いですね。単に速いだけのピッチャーなら、今は珍しくないですけど、中村君はもう一つレベルが上。速くて、打てないピッチャーですよ」

【次ページ】　野手では“明治大のプリンス”に注目が