DeNAへ残留する含み

　20年サイ・ヤング賞の実力は、出場停止中のブランクがあったにせよ、今季、日本での活躍であらためて実証された。実戦のスカウティングだけでなく、球速、回転数など細かいデータ面でも、メジャー各球団は「トラックマン」などで正確に把握しており、依然としてメジャートップクラスであることに変わりはない。

　しかも、今オフのFA市場は、例年になく、先発投手陣が「売り手市場」となっていることもあり、オリックスからポスティングで米移籍を目指す山本由伸、DeNA今永昇太らの動向次第では、「優良物件」の選手を逃した球団が、多少のリスクを覚悟でバウアー獲得へ動いても何ら不思議ではない。たとえ、複数年の大型契約は難しくても、真剣に頂点を見据える資金力豊富な強豪球団にすれば、バウアーの底力が現在のメジャーでも「特A」クラスであることは間違いなく、短期契約でアプローチする可能性はある。今回、DeNAへ残留する含みを残しながら、自由契約を選択したあたりに、両球界を天秤にかける代理人側の思惑も見え隠れする。

そのキャラクターが日本では愛されているバウアー。果たして来季は…？　©Yuki Suenaga

　無数のタオルが揺れ、大歓声に包まれる日本のマウンドに向かうのか、それとも敵地での大ブーイングを覚悟で再びメジャーのマウンドで圧倒する姿を見せるのか――。

　いずれにせよ、今オフ、バウアーの動向に注目が集まることに変わりはない。