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バウアー「メジャー復帰」は実現するのか? 女性への性的暴行「無実」も、待ち受ける米国社会の厳しい目「山本由伸らの動向次第で…」 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byJIJI PRESS

posted2023/12/05 06:02

バウアー「メジャー復帰」は実現するのか? 女性への性的暴行「無実」も、待ち受ける米国社会の厳しい目「山本由伸らの動向次第で…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今季シーズン途中からDeNAに加入も10勝4敗、防御率2.76と、さすがメジャーリーガーという成績を収めたトレバー・バウアー、32歳。

 だが、米国社会では、自らの弱さで薬物やアルコールに依存した過去などにはある程度は寛容でも、特に女性や子供ら弱者に対する暴力や虐待には、極めて厳しい視線を向ける傾向が強い。実際、家庭内暴力(DV)が明らかになったフリオ・ウリアス(前ドジャース)は、強豪球団の先発ローテーションを担う実績を残しながら復帰のメドすら立っていない。高額な年俸を手にするだけに、メジャーリーガーは常に子供たちの憧れの存在でもあり、女性への性的暴行が取り沙汰されたバウアーの「ダーティー」なイメージは、たとえ法律的に無実が証明されたとはいえ、簡単に消えないという現実も否定できない。

NPBでの人気とMLBでの敬遠する声

 無実が証明されたバウアーにすれば、今後も野球を続けるうえでベストの環境を求める姿勢は変わらないだろう。訴訟問題がクローズアップされたドジャース時代の2021年に休職リスト入りし、出場停止処分を受けて2022年シーズンを棒に振った。その後、停止処分が短縮され、今年3月にDeNA入りが電撃発表された。今季は途中から一軍に合流し、19試合の登板で10勝4敗、防御率2.76の成績を残した。ベイスターズでは、サイ・ヤング賞の実力を存分に発揮し、米国流の中4日で登板するなど、プレーオフ進出への原動力として一躍人気者となった。熱狂的なDeNAファンだけでなく、その気骨溢れる姿からも、NPB残留を望む声は数多く、バウアーのSNSをフォローする日本人ファンは一気に増加した。

 もっとも、日本での「バウアー人気」が、必ずしも米国に正確に伝わっているわけではない。今オフには、バウアーの古巣ドジャースの主力ムーキー・ベッツが、バウアーの野球に取り組む真摯な姿勢を高く評価するなど、米国内では好意的な声も伝えられた。その一方で、プライベートな動画撮影を繰り返し、マイペースで行動するバウアーの奔放な言動や奇抜とも見られる振る舞いに対し、「同じチームでプレーしたくない」と明言した選手が多数存在した事実も見逃せない。メジャーで停止処分が短縮された際、獲得へ動く球団がなかったのも、チーム全体への影響を不安視したことが要因とも見られている。

【次ページ】 DeNAへ残留する含み

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トレバー・バウアー
横浜DeNAベイスターズ

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