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甲子園出場“3回だけ”の新興校から今年は「ドラフト指名3人」のナゼ《5年連続プロ輩出》京都国際高のナゾを追う「最初は部員を揃えるために…」

posted2023/11/18 17:00

 
甲子園出場“3回だけ”の新興校から今年は「ドラフト指名3人」のナゼ《5年連続プロ輩出》京都国際高のナゾを追う「最初は部員を揃えるために…」<Number Web> photograph by Fumi Sawai

15年前から京都国際高校の野球部を率いる小牧憲継監督。同校からは近年、5年連続でプロ選手が輩出されている

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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今年も甲子園常連の名門校・強豪校の主力選手がまさかの「指名漏れ」に泣いたプロ野球ドラフト会議。その一方で、甲子園出場はわずか3回だけの京都国際高からは、同時に3人の選手が育成指名され、これで指名は5年連続となる。なぜ、同高の選手はプロ球団から“選ばれる”のだろうか? その秘密を野球部の小牧憲継監督に聞いた。(前後編の前編/後編を読む)

08年 申成鉉(広島4位)
13年 曽根海成(ソフトバンク育成3位)
16年 清水陸哉(ソフトバンク育成5位)
19年 上野響平(日本ハム3位)
20年 早真之介(ソフトバンク育成4位)、釣寿生(オリックス育成4位)
21年 中川勇斗(阪神7位)
22年 森下瑠大(DeNA4位)
23年 杉原望来(広島育成3位)、浜田泰希(日本ハム育成1位)、長水啓眞(ソフトバンク育成8位)

 これは京都国際高校がプロ野球界に輩出した選手の一覧だ。今季オフに戦力外となった選手もいるが、99年に創部された比較的歴史の浅い学校から、これだけプロ野球選手が誕生することはあまり例がない。

 しかも近年は今秋まで5年連続で育成も含めてドラフト会議で指名を受けている。チームとしても、21年のセンバツで甲子園に初出場し、同年夏には甲子園でベスト4に進出。今や京都府内の高校野球界の新興勢力ではなく、常勝軍団の気風さえ漂っている。

 在日韓国人を受け入れてきた「京都韓国学園」を前身とし、04年から現校名となった。

初めて出た近畿大会は初戦で完全試合を食らう

 08年の春の府大会の3位決定戦に勝ち近畿大会に初めて出場したものの、当時の部員は13人だった。小牧憲継監督は当時のことをこう回顧する。

「初戦で浅村(栄斗・楽天)選手のいた大阪桐蔭と当たって、いきなり完全試合されました(苦笑)。大阪桐蔭、あらためて強いなと思ったら夏の甲子園で全国制覇しましたからね。ウチはやっと近畿大会に出られた、みたいな感じでしたから」

 秋には4人の3年生が引退し、部員は9人となった。「そのうちちゃんと野球ができるのは4、5人」と小牧監督が明かすように、当時は部員不足が悩みの種だった。

【次ページ】 「大会で勝つことは厳しい。それなら…」

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