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「なぜ負けたのか…」ラグビー日本代表「勝てた」はずのアルゼンチン戦を落としたワケ…畠山健介が振り返る「目についたのは疲労の蓄積」

posted2023/10/13 17:00

 
「なぜ負けたのか…」ラグビー日本代表「勝てた」はずのアルゼンチン戦を落としたワケ…畠山健介が振り返る「目についたのは疲労の蓄積」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

ラグビーW杯、アルゼンチンに敗れ2大会連続ベスト8進出を逃した日本代表。キャプテンの姫野和樹(左)と握手を交わすリーチマイケル

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朴鐘泰

朴鐘泰Park Jong Tae

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Kiichi Matsumoto

 決勝Tか敗退か――。天王山の戦いは、取られては取り返すの殴り合いに。だが一度もリードを奪えぬまま、優勝という目標は夢半ばで潰えた。
 現在発売中のNumber1082号「誇り高き死闘 ラグビーW杯日本代表完全保存版」に掲載の[vs.アルゼンチン]「4年間の冒険の終止符」<五郎丸歩&畠山健介がBK、FW目線で解説>より内容を一部抜粋してお届けします。【記事全文はNumberPREMIERにてお読みいただけます】

畠山健介がFW目線で振り返るアルゼンチン戦

 勝てた――。戦いが終わって最初に思ったことです。

 アルゼンチンは、決して良くなかった。いや、単刀直入に言うと、ひどかった。基礎的なプレーの質が低く、一貫性も乏しく、ハンドリングエラーは日本の5に対し13もありました。

 しかし、ここぞという場面、すなわち日本がソフトなミスを犯した隙を見逃さず、そこからトライを取りきる集中力が凄まじかった。開始早々の2分に許した先制トライはその典型です。

 試合全般を通じてパフォーマンスレベルは決して高くなかったものの、アルゼンチンはラインアウトとハイパントのコンテストの場面では、精度の高いプレーを披露しました。「日本を上回る身長の高さを最大限に生かす」という準備をしてきたことの表れでしょう。日本はラインアウト9本中8本成功(88.9%)とまずまずの数字を残しましたが、相当なプレッシャーを受け続け、紙一重だったという印象です。

 スクラムはマイボールの際に10本全部成功と一定の安定感を示しました。特に前半5分のファーストスクラムは、1番の稲垣啓太が少し左にスライドし、外からまくるような動きが奏功し、ペナルティを得ることができました。アルゼンチンの成功率は62.5%と、80分トータルでスクラムは日本が優位に立てたと言えるでしょう。

 この日もLOアマト・ファカタヴァが抜群のトライ嗅覚を発揮し、SO松田力也のキックも絶好調で、必死に食い下がって、前半を1点差で折り返した。十分な射程圏内で後半に入って「さあ、ここから!」というところで、逆に引き離されてしまった。

「なぜ負けたのか」の徹底検証を

 目についたのは、疲労の蓄積でした。

 大会前の強化試合から数えて、“出ずっぱり”の選手たちの動きが明らかに重い。

 僕も出場した'15年大会で出場機会ゼロの選手は2人でした。'19年大会は5人いて、'23年に向けて大会登録メンバー全員が試合に出られるくらいに選手層を厚くしなければならない、という課題が挙げられました。

 そして今大会も出場ゼロは5人。しかし、主力選手の出場機会の偏りは、'19年より大きかったと思います。アルゼンチン戦のジャパンは、どうも冴えなかった。それほど、サモア戦の激闘の代償は高くついてしまったということでしょうか。

 ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフが「これ以上は求められない」というほどのハードワークを乗り越えてきた選手たちに、心からの敬意を表します。しかし、この敗戦を'27年大会に生かすには、「なぜ負けたのか?」を徹底的に検証する必要があります。あまり触れたくない、できれば蒸し返したくない、“痛み”を伴う作業になるかもしれません。

 例えばLO問題。

【続きを読む】雑誌が読み放題のサブスク「NumberPREMIER」内の<五郎丸歩&畠山健介のW解説>アルゼンチン戦は「勝てた試合」…課題として残った「LO問題」と「30人2チーム」で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

 

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