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「無理でしょ、って言われても…」生前のアントニオ猪木が“オカダ・カズチカに贈った言葉”とは?「猪木イズムというのは『闘う姿勢』だと思う」

posted2023/10/05 11:01

 
「無理でしょ、って言われても…」生前のアントニオ猪木が“オカダ・カズチカに贈った言葉”とは?「猪木イズムというのは『闘う姿勢』だと思う」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

映画『アントニオ猪木をさがして』にも出演しているオカダ・カズチカ

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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Takuya Sugiyama

アントニオ猪木が亡くなってから、1年が経った。雑誌『Number』にて、1対1の対談を行った経験もあるオカダ・カズチカが、取材の中で抱いた猪木への思いとは? 10月6日に公開となるドキュメンタリー映画『アントニオ猪木をさがして』にも出演するオカダが猪木から受け取ったものの話――。《NumberWebインタビュー第2回/前編からつづく

「あの取材時、猪木さんはかなり体力的にキツかったと思うんですよ。あの頃の猪木さんの体調で60分間も対談をするのは、プロレスで60分フルタイムの試合をするようなものだったかもしれない。そこまでして、いろいろと話してくださったというのは本当にありがたいですね。いまさらありがたがっても遅いのかもしれないですけど」

 猪木と初めてじっくりと話していく中でオカダが驚いたのは、猪木が現役時代プロレスラーとして劣等意識を持っており、世間のプロレスに対する偏見や差別と闘ってきたことを知ったことだったという。

「猪木さんが闘ってくれたからこそ」

「僕は猪木さんの時代って、すごく恵まれていたんだと思っていたんですよ。毎週ゴールデンタイムでテレビ放送されて、みんな世間の人もプロレスを知っていて。僕らの時代みたいに『プロレスを広める』ということをする必要がない、いい時代だったんだとばかり思っていた。

 ところが昔は、今よりもプロレスが一般に知られているが故に偏見にさらされる機会も多くて、ボクシング世界ヘビー級王者のモハメド・アリや柔道金メダリストのウィリエム・ルスカと異種格闘技戦を行なったのも、一般紙にプロレスを載せるためだったと聞いて、『ウソでしょ!?』『そんなことしなくても、あれだけお客さんが入ってたのに』って思ったんですよ。

 でも、猪木さんがそうやって世間やいろんなものと闘ってくれたからこそ、いまも新日本プロレスがあるんだなと思ったとき、それだけのことをできてない僕が情けないなと思っちゃいましたね。『馬鹿になれ』って言われても、できない人がほとんどじゃないですか。でも、猪木さんはそれをやってきたからこそ、“アントニオ猪木”なんだなって」

【次ページ】 猪木がオカダに“贈った言葉”とは?

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