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湘南ベルマーレ“新スタジアム建設案”に平塚市長は「かなり無理な提案を一方的に…」クラブと自治体のすれ違いは“埋められない溝”なのか 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byMasashi Hara/Getty Images

posted2023/08/30 11:02

湘南ベルマーレ“新スタジアム建設案”に平塚市長は「かなり無理な提案を一方的に…」クラブと自治体のすれ違いは“埋められない溝”なのか<Number Web> photograph by Masashi Hara/Getty Images

新スタジアム建設に向けて、ホームタウンである平塚市との折衝を重ねている湘南ベルマーレ。だが、実現に向けた課題は少なくない

両者のすれ違いは“埋められない溝”なのか

 ベルマーレは「平塚市を離れることも辞さない」との報道もある。

 株式会社湘南メディアスタジアムの佐藤倫明社長は、「平塚市さまで検討が無理だということになれば、平塚市さまにちゃんとお話をしたうえで、他の自治体ということはステップを踏んであり得る」と話している。あくまでも平塚市との合意を目ざし、それが叶わないなら他市との交渉へ移るというスタンスだ。「条件が飲めなければ出ていく」といった強硬姿勢で、交渉を進めるつもりはない。

 湘南メディアスタジアムと平塚市は「思惑がすれ違っている」との報道があるが、両者の間には絶対に埋められない溝が横たわっているのか。否、そうではない。話し合いを重ねていくことで、着地点を見出すことはできるはずだ。

 新スタジアムの建設については、5万人を超える署名が集まっている。署名活動を進めてきた平塚商工会議所『スタジアム建設促進委員会』の鈴木委員長が言う。

「署名をしてくれた80パーセントは神奈川県在住の方で、平塚市民はおよそ38パーセントです。等々力でのアウェイゲームでも、川崎フロンターレさんの好意でブースを置かせていただきました。マスコットのふろん太くんも書いてくれました」

 Jリーグは経済的・物理的に結びつきの少ない都市と都市を、サッカーを通して結びつけている。それぞれのチームのファン・サポーターは、ホームゲームやアウェイゲームに足を運び、訪れた都市の情報をSNSなどで発信する。プロ野球やラグビーのリーグワンなどに比べて参加クラブが多く、個々のホームタウンと密接したJリーグは、自治体の宣伝という観点からもポテンシャルを秘めたコンテンツと言うことができる。

 福祉や医療の充実、少子高齢化対策などが求められる社会情勢を踏まえつつ、10年後、20年後のホームタウンのあるべき姿に思いを馳せ、スポーツの、Jリーグの価値を正しく読み取る。その先に、スタジアムをどうするべきかの答えがある。

<前編から続く>

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