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「ナオヤは“まるでパッキャオ”。スペシャルだ」アメリカ識者が“6年前からホレボレの井上尚弥評”「彼のパワーとスピード、戦術の融合は…」

posted2023/07/30 06:00

 
「ナオヤは“まるでパッキャオ”。スペシャルだ」アメリカ識者が“6年前からホレボレの井上尚弥評”「彼のパワーとスピード、戦術の融合は…」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

フルトン相手に鮮やかなKO勝利を飾った井上尚弥。アメリカでの評価はかねてより高かった

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 またも鮮烈かつ戦慄のKO劇を見せた井上尚弥。日本ボクシング界が誇る“モンスター”について、長らく本場アメリカの識者からも絶賛の声が上がってきた。「Number」に掲載された記事から“ナオヤ・イノウエ評”を紐解こう。

<名言1>
井上は実力を証明した。彼のパワー、戦術は、ここ(アメリカ)で明らかに求められているものだ。
(ピーター・ネルソン/NumberWeb 2017年9月11日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/828848

◇解説◇
 バンタム級4団体統一に続いて、スーパーバンタム級挑戦1戦目にして難敵スティーブン・フルトンを撃破して2団体王座を獲得――。井上尚弥の勢いはとどまらず、世界での評価はうなぎ上りである。

本場アメリカでベールを脱いだ6年前の評価は?

 そんな井上がボクシングの本場アメリカでベールを脱いだのは、2017年9月9日のことだった。当時WBOスーパーフライ級王者だった井上は、カリフォルニア州カーソンでアントニオ・ニエベス相手に6回終了TKO勝ちを飾った。

「ESPN」ボクシング記者であるダン・ラファエル氏は、ニエベス戦を前にこのように語っている。

「やはり本物になるにはアメリカにいかなければならない、という考え方はあるようです。そして9日は井上にとって、そういう本物になるチャンスといえるでしょう」

 本場アメリカで井上はどんな戦い方を見せるのか……ゴングが鳴ると、衝撃の光景が広がった。初回からワンサイドの展開となり、当時同級7位だった世界ランカーのニエベスが逃げ回ることしかできなくなったのだ。

「試合は相手があってのこと。今日みたいな一方的な、相手の選手に勝つ気がないような試合だと試合自体が枯れちゃうので。白熱した試合がしたいです」

 井上は試合後、このように語っていたという。しかしこの戦いを中継したテレビ局HROのピーター・ネルソン氏は「HBOとして井上選手にぜひこちらで試合をしてほしいと考えた」と三顧の礼をもって迎え入れ、試合後も冒頭の言葉のように実力を称えた。その強さはしっかりと、アメリカに向けてアピールできていたのだ。

観ていても楽しい選手ですからね

<名言2>
あれほどのスピードとパワーを融合させられる選手は非常に稀。観ていても楽しい選手ですからね。
(ピーター・ネルソン/Number944号 2018年1月18日発売)

 ◇解説◇
 井上は2012年のデビュー以降、わずか6戦での世界王者(ライトフライ級)獲得に始まり、日本の地で次々と早期KO劇を積み重ねていった。すでにその頃から海外での評価は高く、2016年4月にはボクシング界の権威ある雑誌「リング・マガジン」が発表するパウンド・フォー・パウンド(すべてのボクサーが“同階級”と仮定した場合での強さを示すランキング)でトップ10入りを果たしている。

【次ページ】 “史上最大の窮地”での勝利も高評価だった

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