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「ナオヤは“まるでパッキャオ”。スペシャルだ」アメリカ識者が“6年前からホレボレの井上尚弥評”「彼のパワーとスピード、戦術の融合は…」 

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2023/07/30 06:00

「ナオヤは“まるでパッキャオ”。スペシャルだ」アメリカ識者が“6年前からホレボレの井上尚弥評”「彼のパワーとスピード、戦術の融合は…」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

フルトン相手に鮮やかなKO勝利を飾った井上尚弥。アメリカでの評価はかねてより高かった

 井上はその後スーパーフライ級も制し、前述したニエベス戦での勝利などで防衛回数を積み重ね、さらには3階級制覇となるバンタム級挑戦についても取りざたされていた。

 それを受けてボクシング界におけるプレミアチャンネル「HBO」スポーツ部の重役であるネルソン氏も「バンタム級に上げた後であれ、井上のファイトを放送していきたいという意向は常に持っています」と語り、そのスピードとパンチの破壊力に舌を巻いていたほどだ。

“史上最大の窮地”での勝利も高評価だった

<名言3>
考えれば考えるほど、2019年のファイト・オブ・ザ・イヤー(年間最高試合)はこの一戦で間違いない。(ダグラス・フィッシャー/NumberWeb 2019年11月20日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/841502

 ◇解説◇
 井上尚弥vsノニト・ドネア。“モンスター”井上にとって、キャリア史上最大の窮地だったのは2019年11月7日WBSS決勝である。

 WBSSで衝撃の早期KO劇を連発して勝ち上がってきた井上。ドネア戦でも会場からは豪快な勝利への期待感が充満していたが――2回終盤にドネアの左フックを被弾し、右まぶたから出血。それどころか眼窩底骨折に加えて右眼の筋肉に異変が生じ、「ドネアが2人に見える」状態に陥った。9回にもドネアの右カウンターを浴びてダウン寸前の状態に陥った井上だったが、「息子の顔が頭をよぎった」「家族のために」という思いで踏みとどまり、試合を決定づける11回の左ボディーへと繋げた。

 歴戦の雄ドネアの強さとともに、井上の精神的なタフさも垣間見えた名勝負。これについてアメリカでもライブ配信は現地時間で深夜~早朝という時間帯だったが、高い評判を得たそうだ。

 前述した「リング・マガジン」で当時編集長のフィッシャー氏は、最高の戦いであったことをコラムで冒頭のように絶賛した。さらにESPN.comのスティーブ・キム氏の言葉もまた、この日に井上が見せた“新たな引き出し”を端的に言い表している。

【次ページ】 パッキャオと3度戦った実力者からの絶賛

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