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「本当に準々決勝で大阪桐蔭が…」下関国際“あの番狂わせ”直前のミーティング…なぜ監督&選手はあれほど冷静だったのか?「絶対に倒す、と」

posted2023/08/20 11:04

 
「本当に準々決勝で大阪桐蔭が…」下関国際“あの番狂わせ”直前のミーティング…なぜ監督&選手はあれほど冷静だったのか?「絶対に倒す、と」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

昨夏の甲子園、下関国際を準優勝に導いた坂原秀尚監督

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中村計

中村計Kei Nakamura

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Hideki Sugiyama

 昨夏の甲子園、注目はただ一点に絞られていた。どこが大阪桐蔭を止めるのか――。そのダントツの優勝候補が、下関国際の前に準々決勝で散った。なぜ大阪桐蔭は土壇場9回に逆転を許したのか。なぜ下関国際は異様なまでに冷静だったのか。西谷浩一と坂原秀尚。両校監督へのインタビューから、ノンフィクション作家・中村計氏が迫った。【NumberWeb集中連載「計算された番狂わせ」全7回の#3】

 本州の最西端、下関市の先っぽの小高い丘の上に立つ下関国際高校。野球部寮「立志貫道館」は、そこから50mほどの距離のところにある。2020年に完成したばかりだ。

 寮内に掲げられた2022年用カレンダーの8月18日のところが、何重もの赤い丸で囲まれていた。その年の夏の甲子園の日程が予定通り進めば、18日は、準々決勝が行われる日に当たっていたからだ。

 2022年夏は、4年振りに雨天順延がなく、試合は順調に消化されていった。つまり、下関国際の「狙い」は見事に的中したわけだ。

 彼らが赤い丸に込めた思いを、坂原秀尚が代弁する。

「この夏の3年生たちは、その準々決勝を越える、という明確な目標を立てて入ってきた子たちだったんです」

下関国際の宿願「ベスト8突破」

 第100回大会を迎えた2018年夏、下関国際は3度目の甲子園出場を果たした。2017年の夏、18年の春に続き、3季連続の大舞台だった。1回戦の花巻東戦で甲子園初勝利を飾ると、そこからさらに創志学園、木更津総合と次々と甲子園常連校を打ち破り、準々決勝に進出する。そこで待っていたのは、春夏通じて3度の全国制覇を誇る日大三だった。

 試合は下関国際のエース鶴田克樹が6回までノーヒットノーランに抑えるなど優勢を保ったまま終盤へ。しかし、大黒柱の鶴田が8回につかまり、2-3で逆転負けを喫した。

 その年の暮れ、坂原は早くも選手獲得に動き出す。最初に会ったのは、のちにキャプテンを務めることになる山下世虎だった。

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