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「あれは一生、忘れることがない」電撃トレード→即活躍の石川慎吾がしみじみ明かした“縁”と仲間への思い…「苦労人」も笑い飛ばす3球団目の境地 

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梶原紀章(千葉ロッテ広報)

梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara

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photograph byChiba Lotte Marines

posted2023/07/22 11:04

「あれは一生、忘れることがない」電撃トレード→即活躍の石川慎吾がしみじみ明かした“縁”と仲間への思い…「苦労人」も笑い飛ばす3球団目の境地<Number Web> photograph by Chiba Lotte Marines

ガッツ溢れる石川慎吾(右)のプレーは、マリーンズの選手たちにも刺激を与えている 

「持っている物以上のものは出ない」

 石川がよく口にするフレーズだ。ガムシャラにプレーしていた20代前半。しかし、いつしか、ただ全力を尽くしても結果が出るものではない、と気がついた。結果を出そうと力みも生まれる。成績が伴わないと自分を責めてしまう。そんな中、たどり着いた境地。やれることをやる。自分の能力としっかりと向き合って、今、何が出来るかを自分でしっかりと見極め、実行に移す。それがマリーンズで好結果を生んでいる。

「10年やったぐらいから考え方も変わってきました。どこか一歩引いて冷静に。打席には、ただ打ちたいとかではなくて明確な目的、意識、狙いをもって立つようにしています」

 ファイターズからジャイアンツ。そして今年7月、マリーンズへ。どうしても苦労人の印象が付きまとうが本人は「苦労人ぶっているだけですよ」と笑う。

「ボクに力がなかっただけ。苦しいことは沢山ありますけど、振り返ったらすごく恵まれていたと思います。それに野球をやれていることが幸せ。野球を辞めた時に後悔はしたくない。そういう風に考えています。そもそも苦しくない仕事なんてないんじゃないですかね」

自分と向き合い、たどり着いた境地

 これは決して書物を読んで導かれた人生哲学でもなければ、誰かからの言葉でもない。

「いいことも悪い事も自分の肥しにしたい。野球だけではなく人間的にも成長することが大事だと思っている」

 この世界でどうやったら生き残れるかと必死に自分と向き合い戦ってきた石川が長年かけてたどり着いた境地。だからこそ価値があり、深い。そして今、その考えがマリーンズの力となっている。

【次ページ】 「マリーンズはいいぞ」澤村の言葉に…

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