ピッチングメカニックから、ほっこりする話題まで多岐にわたり、フォロワーを巻き込んで楽しんでいる。2人に共通しているのは、フィールディングや牽制も含めて「投げる」ということに特化し、技術を追求し続けていること。そして、そこで導き出した結論、もしくは仮説を惜しみなく後進に伝えていることだ。

WBCでは投手陣の兄貴分としてチームをまとめた　©︎Takuya Sugiyama

「昔を知っている人は、みんなビックリ」

　侍ジャパンでは、ほとんどの投手がダルビッシュに助言を仰ぎ、影響を受けたのは周知の話だ。それだけでなくSNS上でもトレーニング風景、とりわけ変化球の研究成果を公開している。一方、涌井も中日の若手選手と積極的にコミュニケーションをとり、意見や感想を伝えている。

「僕は昔からそういうところはありましたけど、向こう（ダルビッシュ）は変わりましたよ。昔を知っている人は、みんなビックリしていますから」

なかなか上昇気流に乗れないチームの中でも粘り強い投球を続けている涌井　©︎JIJI PRESS

　涌井はダルビッシュの変化を笑って話した。もちろん、後進に何かを伝えるのは義務ではないし、もっと言えば伝えられたからといって習得できるとも限らない。しかし、何かをつかむきっかけになれば…。そんな思いが2人の姿からは伝わってくる。

　まずは野球を好きになり、うまくなる過程を楽しむ。そしてその様子を1人でも多くの人に知ってもらいたくて、あえて公開しているのだろう。昭和生まれの2人だが、汗と涙と根性で這い上がれ、苦しんで上手くなれ、という考え方とは一線を画すクールなアスリートだ。たとえ同学年でなかったとしても、2人は間違いなく共鳴したはずだ。

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