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西野前監督が森保一監督に伝えた「ロストフの悲劇」の真相「0コンマ何秒の世界がそこにはあった」「俺自身が想定できていなかったんだよ」
posted2022/12/05 20:01
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
ドイツ、スペインというW杯優勝経験国と同居する厳しいグループを劇的な勝利で突破したサッカー日本代表。彼らを率いる森保一監督は、決戦の地・カタールへ出発する直前、W杯を知る頼もしき“先輩”西野朗と再会していた。4年前のロシアW杯で、グループ突破の喜びと16強敗退の悔しさを監督とコーチという関係で共有した2人が、ベスト8への壁を越えるための戦略を語り合った。
Number1063号(2022年11月17日発売)に掲載された『[誌上作戦会議]森保一×西野朗「ベスト8へのバトン」』を特別に無料公開します。<全2回の後編/前編へ>
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まさかのポーランド戦、先発6人入れ替えの真意
西野 ロシアワールドカップで俺が大事にしたのは、みんな代表の戦力なんだって全員に感じさせること。大会直前のパラグアイ戦で、前のスイス戦から先発を10人入れ替えた。ミーティングでも「レギュラーとバックアッパーは全く分けない。みんなが必要だから選んだ」と伝えた。だから第3戦のポーランド戦も、セネガル戦から6人を入れ替えて、しっかりと戦い抜いてくれた。全員が常にスタンバイできていたから、グループステージを突破できたとは思う。
森保 ロシア大会はグループステージで中4日の試合もありましたけど、カタール大会はいずれも中3日です。西野さんは3試合目で大幅にメンバーを入れ替えました。ただ今回は1試合ずつになることも想定しながら戦わないといけません。5人交代枠があってインテンシティが落ちるゲームにはならないでしょうし、70%くらいの力で通用する大会でもありませんから。日本はレベルの高い選手がそろっていますし、それこそ全員がレギュラー。先発か途中出場か、その違いだけという認識です。
実際、僕も9月のアメリカ戦とエクアドル戦でメンバーを総替えしました。本大会の2、3戦目になってフレッシュな選手を出したほうがいいと決断に迫られた場合、一番大きな選択まで想定しておくためです。もちろんメンバー選考の意味合いもありましたが、むしろ我々はカタールでこういう戦い方をするんだぞ、というメッセージを送ったつもりなんです。