愛弟子・宇草、パワーの末包、外野手転向の中村奨…広島の今季を占う“ポスト誠也”は誰が務める？《ベテラン長野もアリ》

　広島の首脳陣は、難解な課題に直面している。

　今春のキャンプの最大の関心事ともいえる“ポスト誠也”。誰が右翼に入り、誰が4番を務めるのか――。ただ、鈴木誠也の移籍は「マイナス1」では収まらない。日本球界を代表する打者なのだから、当然だ。広島においても特別な存在だった。強肩の外野手、右打ち、長距離砲……現有戦力を見ると不足する能力を一人で兼ね備え、補っていた。“ポスト誠也”と言っても、誰か一人が鈴木の穴を埋められるわけがない。

　今年の広島春季キャンプは移籍する鈴木だけでなく、アクシデントによって出遅れた西川龍馬や坂倉将吾もいない。昨季主にクリーンアップを務めた3人が不在の状況。加えて、長野久義や松山竜平もニ軍スタートだった。

　東出輝裕野手総合コーチが「秋季キャンプみたい」と表現したように、育成2選手（メンバー発表時は3人）が参加するなど例年以上に若手の抜擢が目立ったのも、チーム力底上げの狙いが感じられる。

注目株は24歳の鈴木の愛弟子

　“ネクスト誠也”の注目株筆頭には、宇草孔基を挙げたい。昨季43試合で打率.291を残した24歳は、すでに打力と走力は一軍レベルにあることを証明している。今春キャンプの驚きは、課題とされた送球面の改善が目に見えて明らかだったことにある。この課題さえ克服できれば、外野争いをリードする存在だろう。実戦で大きなミスをすれば悪癖が再発する可能性もゼロではないだけに、「改善」とするのは時期尚早かもしれない。ただ、課題解消へ向けた歩幅は決して小さくない。トップバッター候補に挙げる首脳陣も、期待を膨らませたに違いない。

　何よりチームを去る鈴木から教えを受けた愛弟子だ。同じ担当スカウトから広島入りした縁もあり、入団時から助言をもらい、12月から1月まで自主トレをともにした。送球改善の背景にも、鈴木の教えがある。「結果を出して成長したところを見せられたらと思います」。飛躍が何よりの恩返しとなる。

　昨秋のドラフトで獲得した2人の新人野手も、キャンプ初日から打撃コーチの指導を受けながら、それぞれ持ち味を発揮している。

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