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奇才ビエルサの下で覚醒 リーズのバムフォードは“ヤワなお坊ちゃん”から頭も育ちもいいストライカーに

posted2021/02/22 17:00

 
奇才ビエルサの下で覚醒 リーズのバムフォードは“ヤワなお坊ちゃん”から頭も育ちもいいストライカーに<Number Web> photograph by Getty Images

ビエルサ率いるリーズは、いまプレミアで最も観る価値のあるチームの1つだろう。そんなチームを牽引するのが遅咲きのストライカー、バムフォードだ

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 リーズと言えば、何とも“嫌なチーム”だった。

 強豪としての過去を持つが、「ダーティー・リーズ」としても知られてきた。積極補強(後にそのツケが回った)もあってプレミアリーグでのトップ4入りとCL準決勝進出を果たした今世紀初頭でさえ、全国的に支持されるチームなどではあり得なかった。

 筆者個人としても、あえて観たいと思うようなチームではなかった。対戦相手の視点に立つと、「タフ」というよりも「ラフ」。「果敢」ではなく「強引」にポイントを奪うチームといった印象が強かった。

 もう23年以上も前のことだが、「観てしまった」後味の悪さは忘れられない。

 西ロンドンで行なわれたリーグ戦。リーズは前半のうちに2人の退場者を出しながらもスコアレスドローに持ち込んだ。筆者の贔屓のチェルシーはホームで2ポイントを落とし、首位マンチェスター・ユナイテッドに勝ち点で並ぶチャンスを逃したのだった。

 そんなリーズの試合を、「録画しても観たい」と思うようになったのだから時代は変わった。

プレミアで旋風を起こすビエルサ・リーズ

 今季、17年ぶりにプレミアリーグに返り咲いたリーズは、メディアでも「最も観る価値のあるチーム」と言われている。そんな変化の要因が、2018年に監督に就任したマルセロ・ビエルサによるものであることは言うまでもない。

 65歳のアルゼンチン人指導者は、試合中は逆さにしたバケツに腰を下ろし、練習後にはチームのジャージ姿でスーパーに現れるといったユニークなスタイルもさることながら、リーズに植え付けているサッカーそのものがクラブの垣根を越えて評価されている。

 ビエルサ監督は、初挑戦のプレミアにも「納得できない内容で8位につけるより、いいサッカーをして12位に終わった方がましだ」という哲学を持つ。

 ここ最近はイングランドのトップリーグでも、ポゼッションとプレッシングを重視する攻撃的なチームが増えてきた。

 とはいえ、実績のある即戦力を買い揃えられるわけでもない環境で、リバプールをボール支配率で上回りながらも惜敗(3-4)した開幕戦から堂々と戦っているのだから恐れ入る。

【次ページ】 「非エリート」たちが演じる“スリル”

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