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第1回目のレフ・ヤシン賞の受賞者。
リバプールGK、アリソン独占取材! 

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パトリック・ソウデン

パトリック・ソウデンPatrick Sowden

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photograph byBenjamin Schmuck/L'Equipe

posted2020/01/15 15:00

第1回目のレフ・ヤシン賞の受賞者。リバプールGK、アリソン独占取材!<Number Web> photograph by Benjamin Schmuck/L'Equipe

『フランス・フットボール』誌の取材を受ける、レフ・ヤシン賞の第1回受賞者のGKアリソン。

「彼こそ特別な存在だ」

●ユルゲン・クロップ(リバプール監督)

「彼こそ特別な存在だ。あるいは特別な何かを内側に持っている。僕がリバプールとの契約を結び終えたとき、彼はFace Time(テレビ電話)で連絡を取ってきた。画面の向こうには彼の笑顔があって、こちら側では僕が同じように笑っている。楽しいひとときだったよ。

 ロッカールームで伝えるのが最も難しいのは、チームをひとつにして前に進ませるメンタルを鼓舞する力だ。ユルゲンはその力を選手それぞれに伝達できる。サッカーをよく知っているのは間違いないが、それ以上に人間とは何かを彼は理解している。彼のもとではロッカールームに慢心がはびこることなどありえない。全員を対等に扱うと同時に、それぞれの個性や気持ち、考えも尊重する。そして誰に対しても態度を変えない。選手と話すときも、インタビューで受け答えをするときもだ。多くの監督がなるべく感情を表に出さず、オープンに心を開かないよう心がけるなかで、彼はそんなことを一切気にしてはいない。出来る限り誠実であろうと努めている」

「(サラーは)リバプールですべてが変わった」

●モハメド・サラー(リバプールFW)

「リバプールで僕が再会した“モー”(サラーの愛称)は、ローマのころとは別人だった(ふたりは2016~17年にローマでチームメイトだった)。当時、僕は英語がうまくなく、彼はイタリア語を話さなかった。だから関係は良好でも、言葉の問題があって会話はあまり交わさなかった。ここにやって来てはじめて彼とは親しくなれた。

 イタリアでの彼は、すでに能力が認められていたけど、今のような自信を持ってはいなかった。リバプールですべてが変わった。大きく成長し、別の次元へと到達した。

 外からは気づきにくいけど、ひとたびリバプールというクラブに所属すると、あるいはリバプールの街で生活すると、最高の選手になって欲しいという期待を強く感じる。それは監督やスタッフだけではない。取り巻くすべての人々――メディアもファンもこのクラブを愛するすべての人々が心からそう願っている。それが選手に力と自信を与えてくれる。そんなクラブは他にないだろう。

 ローマ時代にここにやって来たとき(2018年4月24日、CL準決勝第1戦、2-5でローマの敗北)、アンフィールドの雰囲気を感じとることができた。このスタジアムでプレーするのがどういうことかを身体で実感した。1年後のバルセロナ戦('19年5月7日の準決勝第2戦、4-0でリバプールの勝利)では、僕らは現実に力を得た。あのバルサ戦は、僕のこれまでの試合の中でも最も印象深いものだ。選手はサポーターも僕らとともにピッチに立っているように感じていた。まるで数万人でプレーしているような気持ちだったんだ(笑)。

 でも雰囲気だけがすべてじゃない。このクラブには特別なメンタリティーがある。決して諦めない力を与えてくれる何かがここにはある。サラーの次に話すことになっているこの男も、それは感じていると思うよ(笑)」
 

【次ページ】 「ブラジルの弱点はGKとは信じられない」

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