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五輪世代のヤンチャ坊主・邦本宜裕。
復活を支えた韓国のヤンキー先生。

posted2020/01/15 11:50

 
五輪世代のヤンチャ坊主・邦本宜裕。復活を支えた韓国のヤンキー先生。<Number Web> photograph by Getty Images

日本でかなりヤンチャだった邦本宜裕。元慶南FC監督のキム・ジョンブ氏のもとでチームのエースにまで育った。

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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 この連休で、また北九州市の成人式の様子がメディアを賑わせただろうか。かの有名なヤンキー趣味のド派手衣装で新成人が騒ぐ。ここぞとばかりにカメラがこれを追う。

 ちなみに同市出身の筆者に言わせると、この風景はいい話、という側面も多い。彼らの多くはこの日のためにお金を貯め、少しばかり注目を集め、翌日から仕事や学校という日常にスパッと戻るのだ。

 実は、今回の話の主の邦本宜裕もこの街の若松区出身だ。現在22歳。今年から“職場”が変わることになった。

 Kリーグの“1強”全北現代モータースだ。

 昨年、Jリーグから韓国にプレーの場を移し、スモールクラブ慶南FCで活躍。ステップアップを果たした。2月12日にはアジアチャンピオンズリーグで横浜F・マリノスと対戦する。

 10代の頃には、誰もが羨む才能を持ちながら、2014年に浦和レッズユースを未成年の喫煙で、さらに2017年にアビスパ福岡も契約条項違反で追われたことがある。

 本人は北九州での中学校時代、「周りに流されるタイプだったので、少々悪いこともしたりした」という。

度重なる問題でJリーグを去った男。

 早くから才能を知られた。高校進学時にはあまたのオファーがあり、「どこでも選べた」。青森山田高も有力な候補だったという。

 結果として選んだのは浦和レッズユース。16歳にしてトップチームの試合(天皇杯)に出場、ゴールも記録するなど、順風満帆にも見えた。

 しかしその裏ではやさぐれた感情を持ってしまった。昨年4月、慶南の一員としてACL鹿島アントラーズ戦を戦った際に自ら「過去に挫折した」と認め、こんな話をしていた。

「自分は高校生の時にプロになったわけですが、年齢の近い人たちが楽しそうに見えたんです。もちろん、サッカーをやっている時は楽しいんですけど。でも同世代の人たちはそれ以外にも楽しそうなところがあって、レッズを辞めてしまいました。どこかで高校でサッカーを3年間やりたかったな、という思いがあったんです。強い高校で3年間、選手権を目指したりしたかったな、と」

 気持ちの上でサッカーへの優先順位が下がってしまい、不祥事を起こした。2014年9月にチームを去ることとなった。

 ただし、一度の失態ならまだ周辺の大人がフォローしてくれた。2015年1月にアビスパ福岡に入団。しかしここでも秩序を乱す行動を起こす。契約解除。2017年5月、19歳にして行き場を失った。

【次ページ】 韓国最強クラブへの移籍を果たす。

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