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バルサとレアルを除いた“首位”は?
バレンシアとエメリ監督の現在と未来。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2011/01/31 10:30

バルサとレアルを除いた“首位”は?バレンシアとエメリ監督の現在と未来。<Number Web> photograph by AFLO

バレンシアCFにおいて、クラブ史上最年少となる36歳で監督就任を果たしたウナイ・エメリ監督。2004年に始めて監督になってから、わずか5年の快挙であった

 バルセロナ、レアル・マドリーとその他18チームの格差が年々広がっているリーガ・エスパニョーラは、そのうちセルティックとレンジャースの間だけで毎年優勝が争われるスコットランドリーグのように味気ないものになってしまうのではないか……。

 スペインでは近年、そんな警告をよく耳にする。

 一方で、経済危機の影響による第2勢力の弱体化、カンテラ重視策への転換や若手有望監督の抜擢によってチーム力を上げてきた中小クラブの台頭により、他18チームの実力差は縮小傾向に。毎年繰り返される2強の優勝争いに真新しさを感じることはなくなってしまったが、その下で繰り広げられるCL、EL、残留争いは年々厳しさを増し、毎シーズン新たな魅力を提供してくれているのだ。

 中でも2強を除く18チームにとって“優勝”と同意義のCL出場権争いは、3位まで本戦へのダイレクト出場権が昨季より得られるようになったことで面白さを増した。プレーオフを勝ち抜く必要がある4位は、補強と日程の両面でプレシーズンのプランニングが難しくなるため、第2勢力の目標はそれまでの「4位以内」から「3位」へと変わり、その分競争も厳しくなったからだ。

予想外の好スタートを切ったバレンシア。

 現在その“優勝”争いを演じているのは3チーム。

 バルサさながらの魅力的なパスサッカーを展開するビジャレアル、ホームでの圧倒的強さを武器に予想外の快進撃を続けているエスパニョール、そしてダビド・ビジャ、ダビド・シルバという二枚看板を失いながらチーム力を保つことに成功したバレンシアである。

 特にバレンシアは最近5連勝と調子を上げ、長らく“首位”を快走してきたビジャレアルに肉薄。本来この争いに加わるべきセビージャ、アトレティコが伸び悩む中、リーグを盛り上げる役割を果たしている。

 多額の負債を抱えるバレンシアは昨夏、先述の二枚看板に加えてカルロス・マルチェナ、ルベン・バラハら長年チームを支えてきたベテランを放出する一方、限られた予算を使ってロベルト・ソルダード、アリツ・アドゥリスら6選手を補強した。新戦力が馴染むまでは苦戦を強いられるものと予想されていたが、意外にも7節バルセロナ戦で初黒星を喫するまで5勝1分と好スタートを切った。

 リーガでは前半戦を終えた時点で昨季より2ポイント減の勝ち点37を稼ぎ、3位ビジャレアルと勝ち点2差の4位につけた。3年ぶりの出場となったCLでもマンチェスター・ユナイテッドに次ぐグループ2位で決勝トーナメント進出を決めた。唯一、国王杯ではビジャレアルに敗れて16強止まりとなったものの、新チームの船出としては上々の出来と言って良いだろう。

【次ページ】 二枚看板の喪失を組織力でカバーした若き監督の功績。

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